第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「今週金曜…って、明後日じゃねえかおい」
この春から私が通う高校、青城学園高等学校。
その入学式の翌日、親睦会…というよりどちらかと言うと二次会のようなニュアンスで、放課後に立食パーティーが執り行われるのだ。
妖館の中では私とカルタ、凜々蝶ちゃんと、あともう一人しばらく旅に出ていて帰ってこない馬鹿が同期で、同じ学校に通うことが決まっている。
『無理な時間帯になってくるから、それならいいの。当日は他の妖館メンバーも集まってるし、カルタの保護者で野ばら姐さんも一緒だから』
入学式の日取りが、ポートマフィアの新入メンバーの配属会議と被りさえしなければ…
「リアちゃん、もしもあれなら俺が代わりに行『あんたに私のシークレットサービスを頼んだ覚えはなくってよ』あーリアちゃん、狐火チラつかせないで、その感じ野ばらちゃんにだんだん似てきてるよ」
『…この時期はマフィアと言えども人の入りが多いし、私だって入学式でやむを得ず出席できないだけだし……ほ、ほんとに無理しなくっても平気だから、これくらい』
ラウンジでたまたま野ばら姐さんによるカルタの着せ替え大会が執り行われていたのが全ての始まりだ。
わざわざ大事な用があると分かっているところを邪魔する訳にもいかず、大したものでもないため特に何も言わないまま過ごしていたのだけれど。
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「何やってんだ?雪小路に髏々宮は…」
「!おかえりなさいリアちゃん♡それに中原も…ほら、今度入学式と立食パーティーあるじゃない?カルタちゃんのパーティードレス選んじゃおうと思って♪」
「入学式?…そのに立食パーティーって……リア、お前それいつ?」
「「「え」」」
静まる空間にたらりと汗を流す。
『…い、いつでも良くない?学校の時間だし』
「何言ってんだよリア、お前あれ、保護者参加のやつじゃなかったっけ?」
連勝め、余計なことを。
日が日だから仕方ないことだってあるでしょうが。
なんて心の中で悪態をついていたその時。
「…リアぁ…俺ぁ初耳なんですがぁ?なぁ…いつだよ、吐けや」
ガシ、と頭を片手で軽々と掴まれる。
あ…これもうごまかせないやつだ____
黒い笑顔のまま佇む、私のシークレットサービス様。
「お前、なんでそれ俺に相談しなかったよ」
『か、会議ってもう決定してたのに相談も何も…』
ない、でしょう…?