第9章 蛍石の道標
角で座り込んでるリアの方に行き、立原と場所を代わってもらう。
そのまま気を利かせてくれたらしい二人は一度場所を移し、思い切って彼女に話しかけてみる。
「…リア、待たせてごめん。遅くなった」
『……中也さんのせいじゃないんで、いいです』
大人、なんだよなぁ…思考回路が。
「聞いていいか?あいつに…なにさせた?身体」
『な、にって…別に、何も』
本当に何もやましいことはさせていないのだろう。
俺からしてみればトウェインが見たり触れたりする分は十分アウトではあるのだが。
が、この子は確か俺の気を引きたくてあんなことをさせていたはずなのだ。
「気になるから、教えて」
『!…気、に…?な、なんで?』
ピョコ、と立ち上がった耳が、俺の予想を裏付けてくれる。
「俺はあいつに…ついでに言うと立原にも、リアのあんなエロい格好見せたくないんですけど」
『エロッ、!!?…え、え…?そんな格好してました、??』
「俺に見られて恥ずかしがるような格好してたんだろうが」
『…怒ってます?』
怒りまではまだしていない。
リアが基本的に肌を見せることを恥ずかしがらないことなど分かっているし、立原もあいつもそういう目で見ていなかったこともわかっている。
ただ、心地いいものでなかったことは確かであって。
「………嫉妬した」
予想もしなかった程に無愛想な声。
情けなすぎんだろ俺、十五歳相手にこんな…いや、こんなところを、見せて欲しいんだろうけどこいつは。
『…中也さんの性癖探ろうとしてたの。蝋燭とかどうかなって』
「待て、俺のイメージどうなってんだお前の中で」
『ワインで前してたから、何か我慢してるのかなって思って』
「してねぇからほんと…いやまあ、嫌いかって聞かれたら嫌いでもねえけどな!?見てる分には!!!ただリアさん!!?」
空回りしていたことを悟ったようで、うるうると涙ぐみ始めるそいつに全力でフォローを入れる。
しかし問題はそこではない。
「そういうのはその!!!、…他の奴に、聞かなくても……俺に、聞いてくれませんか…?」
『え、…だ、だって、そう、いうあの…ろ、蝋燭プレイ、とか言ったらその……はしたない、って、中也さんが…』
そんな時期もありましたねこの子には、ええ。
「相談する分には別だバカ…こっち来い」
『…ッ、中也さ…っ』