第9章 蛍石の道標
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リアと立原、それから変態スナイパーとかいうあの元許嫁野郎の待つ客室へ足を運ぶ。
ノックをして…ただそこに反応はなく、なので仕方なく返事を待ちきらずにドアノブに手をかけ、そこを開けて中に入るのだが。
『こ、こう…??どう?立原くん』
「俺知らねぇ、何も見てねぇ」
「あの人Sっぽそうだったしもうちょい庇護欲煽る感じで…」
床に座り込んで、俺の預けておいた外套で腰から下は隠しているのだがシャツははだけた状態だわ谷間見えてるわ肩出てるわ…肌に何かついてるわ。
おい何してやがる、何耳と尻尾まで出してそんな格好してやがる、あ?
男二人いんだぞここ、二人。
どんなサービスショットだそりゃ。
『で、でもでもこんな回りくどいことするならボタン全部開けちゃった方がいいんじゃ…』
躊躇いもせずに自分で開けていく。
お前にその辺の恥じらいがこいつらに対して発動しないということだけはよォくわかった。
「どっちかっていうと自分で開けたいんじゃない?」
『…そう?』
「リアが恥ずかしくて嫌がってるのとかするの好きそう」
『じゃ、あの…ぜ、全部脱「ストップだ姫さん、俺のいねぇとこで何してやがる手前…」!!?中也さんっっ!!!』
中に入って、下着のホックに手をかけてやがったその阿呆の頭をむんず、と掴んで気付かせる。
が、ぱああああ、ときらっきらに輝かせてらっしゃるその瞳は最早頭の中が俺でいっぱいですと暴露しているようなもの。
そうかそうか、そんなに俺が来て嬉しいか。
「リアちゃん、俺はいいからとりあえず質問に答えような。ここ、俺が来るまで野郎が二人いたんだけど」
『?しもべとしもべ』
「てめえ今俺までしもべ扱いしやがったろ」
「そう、僕はリアのしもべ…ふふ、悪くない響きだね」
ダメだこいつ、せめて手前がしっかりしてろやマーク・トウェイン。
「男が二人いるな?」
『男二人寄越したの中也さんじゃん…』
「…俺はその野郎二人の前で、そんな危なっかしい格好させるつもりは一ミリもなかったんですけど???」
外套の衿元を掴んですぐさま肩まで羽織らせた。
が、そこで彼女は自分の今の格好を思い出したらしい。
『格こ…っぁ、…え、ち、ちゅやさ……っ、み、みみみ見ちゃ、ッッ』
「肌に何つけてんだこれ、説____」
パァンッッ!!!
痛快な音が響き渡った。