第9章 蛍石の道標
頭の首をとって指揮系統を崩壊させ、その後は数を弾圧していくのみ。
しかし、中には人間と…異形のものとが混ざっている。
何というものかは分からないし、どういった類の存在かも判断がつかない。
が、そいつらはこぞって俺を見て、襲いかかってくるので…倒すのだが。
「人間…寄越せ、持ってるだろ」
「…何をだ」
「その匂いはあの小娘の___」
小娘、匂い。
思い当たる節はひとつしかない。
俺に匂いが移るほどに接触していた小娘なんざ、あいつ以外に思い当たらねぇ。
が、どうしてあいつの事をこいつらが知っている。
それも、まるで俺についたその匂いを辿って引き寄せられたかのようにして集まってきやがる。
「その小娘とやらが、どうかしたか」
「供物として出せ、そうすれば貴様には何もせん…食わせてくれればいい話だ」
誰が食わせるか、つか変態かこいつら、あんな歳の女になんてこと企んでやがる。
向かってくる奴らを捌くのに手一杯で、肝心の仕事にあたれない。
まあある程度の戦力は削ったはずだし、黒蜥蜴がいればあとは時間の問題でカタがつくだろうが。
「生憎だが、その小娘とやらは俺の命令なんか聞きゃしねぇよ…っ、そんなに扱いやすいいい子ちゃんならこんなに苦労して教育してねぇっつの!!」
投げ飛ばしたり体術で捌いても、起き上がってくる。
異能で蹴散らしてようやく消える…なんなんだ、こいつら。
が、そんな折に、こちらの息が上がってきたところ。
どうしようか、打開策はと思考をめぐらせていたところで、蒼い灯火が現れる。
それにピク、と反応して、ぶち抜いてきたビルの空を見上げるそいつら。
そしてその灯火にとある異形が触れた刹那、そいつは全身を焼かれて消える。
…おいおい、今度はなんだってんだ。
「……っおい、出たぞ!!あいつだ!!!」
指される方へ、顔を上げて。
宙に浮いたそいつは、長く煌めく白縹色の髪をたなびかせ、こちらを見据える。
…待て、どうしてお前がここにいる。
そのまま、いつもの槍を構えて…先程見かけた蒼い灯火を無数に纏って、一人で勢いよくこっちに突っ込んでき____
『__手ぇ、出してんじゃないわよ』
低い低い、聞いたこともないようなそいつの声にゾクリとした。
鋭い目付きにも…その、槍捌きにも。
見惚れさせられてしまったのだ、目の前の一人の少女に。