第9章 蛍石の道標
翌日。
中也さんが首領に呼ばれたポートマフィア拠点にて、頼れる彼の姿を目撃したので駆けていく。
『た、ッ…立原くん…!!!!!』
「ッぐぉ、!!?!?」
朝から探していたのだ、彼を。
広津さんに銀さんもいるのだが、それはまあ仕方がない。
「ってぇな、なんだよ!?猪かおま…っ!!!」
『た、立原く、たたたた助けっ…中也さ、中也さんがぁ…っっ』
「ちょっ、何泣いてんだよお前!?中也さんに何された!?」
「立原、中原幹部が加害者という前提で良いのか」
広津さんからのツッコミも無視して私の両肩を掴む彼に、溢れんばかりの羞恥心とよく分からない感情とを吐き出して。
『ちっ、中也さ、んが…っ、き、昨日から変なの…っ!!!』
「変!?あの中也さんがか!!?」
詳しく教えてくれと広津さんに落ち着かせられ、食堂に四人で腰掛けて、議論開始。
「昨日からってのがまた…あの人、記憶戻ったんだろ?」
『ぅ、…も、戻ってからの方がおかしくって、』
「何かされた?」
『……み、妙にまた過保護っていうかその…なん、か大人っぽく、て…』
訪れる静寂。
そして立原くんから一言。
「…あの人俺らより元々大人だろが」
『元々リアとは友達だったもん、!ちっちゃい頃の中也くん知ってるもん!!』
「お前らそんな昔から知り合いだったのか!?」
『だ、だからこんな今更…い、いまさらなんであんな大人なの、か意味わかんな…っ』
更に追加で入ってくる人間が、二人。
昨日ぶりに会う中級構成員、篠田さんと村上さん。
「あ、」
「あ??」
「?おお、二人とも飯か??それとも休憩?」
立原くんとは仲がいいようで、こちらにやってくるその二人。
「休憩っす休憩…それでここに来たらこんなところでリアちゃん発見。どうしたの?」
『中也さんが昨日からおかしくて…』
「何かされた?」
『……、か…間接、キス…』
再びこの場を襲う沈黙。
それから、私に優しく問うてくれていた篠田さんからの一言。
「えっ、昨日俺らの目の前で襲われてたじゃん」
「おい篠田、どういうことだそれ何してんだあの人」
「いやまあ色々ありまして…」
『ち、あ、え…?だ、だって中也さんが態々間せ…っ…し、しかもなん、かその、手…握って、』
「恋人だよね?」
『や、やけに紳士なことしてッ』
「恋人だよね?」