第9章 蛍石の道標
『わ、私中也さんの恋人に見えるんですか…、?』
「お前今になってそれ聞くか。あんだけ人様の目の前でイチャつき倒しといてそれか」
『だってリアっ、こんな恥ずかしいの初めてで…!』
ピタリと止まる、呆れたような雰囲気。
「…立原十人長、こいつもしかして中也さんが初恋とかいう変な恋愛経歴の持ち主だったり?」
口を開いた村上さんに向けて、立原くんはというと。
「えっ、そんなこと有り得んのか?年頃の女が??……リア、お前もしかして初恋?」
『…な、の?』
「恋愛経験は!?今までに彼氏の一人や二人いるだろお前なら!!」
『い、いないもん…元々ポートマフィアにだって中也くんがいたから入ってき……たとかそんなんじゃなくてたまたま入ったら知り合いがいたってだけで、』
「友達だっつってなかったかおい」
『中也くんはリアになんかそんなに興味なかったはずで、』
「年齢的に幼なじみもいいとこだろお前ら。なあ、お前中也さんのことどんだけ好きなんだよ」
『す、好きって何…!?リア中也くんのこと大好きよ!?大好きだけどわかんないのそういうの…分かんな、くて……』
死んじゃいそうなくらいにドキドキして、なのに決して嫌じゃなくて…でも恥ずかしくて、胸がキュッと締め付けられるような感じがして。
身体を重ねる時だって、そんなことくらいいっぱいあった。
彼に触れられてると、私は確かにそんな感覚を胸に抱いていた。
『な、んか…い、いきなり、女の子扱いみたい、なの…っ、されても、恥ずかしくて死んじゃいそ、ッ』
「めんっっっどくせーなお前!!?死ぬほど好きじゃねえか中也さんのこと!!!どんだけ初だよ、どんだけ好きなんだよ微笑ましいか阿呆!!?」
『なっ、!?』
途端に何故か真っ赤になって勢いよく言葉をぶちまけ始める村上さん。
「中也さんが女扱いとかしてる姿想像つかねぇけど、されてるってことはそれつまり恋人だからだろ、何もおかしくねぇよ!お前めちゃくちゃ愛されてるじゃねえか!!」
『っ…あ、い…さ、?』
「だあああから…っ、中也さんお前のこと好きなんだろ!!?」
『!!!わ、すれてた』
忘れてた!!?
全員から驚かれる。
いや、蔑ろにしてた訳ではないのだけれど、その…
『…、…あんな人、初めてだから…分かんな、くて…っ』
これも、好き…。
こんなに、好き…???