第9章 蛍石の道標
割れ目に埋めるように指が一本、そこの湿り気を確かめるようにぬちゅ、と擦る。
「…さすがにまだそんなに濡れてねぇけど、これはなんで興奮してんの?…誰のせい?」
『ッ、…分かんな、ぁ、!』
肩や胸にキスされながら問い詰められるのに、余計に興奮して分からなくなる。
「俺に触らせる前に濡らしてたくせに…ナカ出させた?」
『!?そんなことさせるわけな「良かった、安心した。もし出されてたら一晩くらいじゃ足りねぇだろうから」へ、…い、や、何言って…』
何かを手に取って、その栓を開けて。
唐突に胸の頂きあたりに冷たいものが滴って、んぅ、ッ!!と声を上げて得体の知れない感覚に恐怖する。
「痛いことしないから落ち着け、相手俺だから」
『だ、だってな、にッひ、!!?あ、や、やだこれ冷た、ッあ、あ!!』
じとじとと濡れていく体。
そこから漂う芳しい香りは、少し大人の色がして。
「苦いのは嫌いだろうと思って。飲んで?いっぱい」
『…の、…っえ、ぁ……葡、萄酒…、?』
手のひらで肌に刷り込むように、マッサージされ始める。
これ、結構好き…毛繕いされてるみたい。
身体、丸ごと可愛がってもらってるの。
…でも、おかしいな。
意図が読めない。
『……、ど、うして…欲しいの、?』
「…何が?」
『り、あに…何か、して欲しいんでしょう?』
「分かっちまう?」
ちゅぅ、と胸を吸われるのにまたビクビクと身体が震える。
頭クラクラする…お酒、肌から飲まされるとか。
「……他の奴になんか絶対しねぇようなこと、させたくなって」
頬を撫でられるのに、暗くて表情は読み取れないけれど、少し臆病な彼がどこか近く感じられて、安心する。
『そ、っか…妬いたんだ?』
「それどころじゃねえよ」
『…道具みた、いに…くち、使って。…動く、のしんどい』
フラフラするのを分かっているのだろう。
普段ならば快く思ってくれはしないが、今日はそれを聞いてくれるらしい。
「道具みたいには、無理かもだけど…キツかったら抵抗して?分かった?」
彼の背筋がゾクリとしたのが感じ取れる。
…好きなんじゃん。
唇でキスされてから、彼の取り出した熱いそれをふにふにと唇にあてがわれて、先端の膨らみを口に含むとぐぐぐ、と喉奥まで入ってくる。
あ、これ犯されてるみたい。
この人の好きにされてるの。