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glorious time

第9章 蛍石の道標


「あーあー、完全に怖がらせてる。俺こっちの趣味ないんだけど」

「あのスカした態度がこれってどういうことなんだか…気にならねえ?」

「そこには同感。結構興味湧いてきた」

ぬるぬると割れ目を開いて愛液を指に絡め、そのまますぐに中に指が入ってくる。

『や、っだ…ッ、いきなりいや…!!』

「!!、…じゃあどうして欲しいんだよ」

『え、っあ………わ、すれた』

「ああ??…めんどくせぇなぁ」

めんどくさい。
ああ、もしかしたら彼もそう思っていたのかもしれない。

だって、私みたいなの…相手するだけでも、面倒なのに。

途端に中を動き始める指が、力強く入り口近くの弱いツボを抉ってくる。

『まっ、そこや、ッだ、あ、あッ…!?』

「ッうお!!?いきなり何す…!!?!?」

思わず、無意識に、彼に教えこまれたように、怖いのに耐えられなくなって、比較的優しそうな、私の腰を抑えている人の腕に抱きついて、それを誤魔化そうと顔を埋めて隠した。

『や、っだ、やだ、違う、ちが、あ、あああ、ッ…っく、い、ッ…、!』

「おいおい、イくの早くねえ?よっぽど開発され…おい、何してんだよ」

「…いや悪い、この子もしかしたらすんごい可愛いかもしれないと思って」

「ああ!!?」

ふと、背中に感じた手のひらの感触にビクッと肩をはねあげる。

「ほら、落ち着いて。別に抱きついてても怒んないから…いっちゃったの?」

『!!、ごめ、なさ…』

「…中也さんと何かあったのかな?」

おい、お前…なんて声が聞こえた気がする。
けれど、私には…なんにも知らない人からの、そういう言葉が欲しかった。

求めていたんだ、ずっと。

『ちゅ、…や、さ…』

「……ほら、ここまでにしたげなって。怯えてんじゃん完全に」

「いや、でも」

「お前のせいで俺まで前殴られたの忘れた?」

「…分かったよ、仕方ねえな」

指が引き抜かれて、それからスーツの上着を羽織らせて貰えば、その人は…私の頭を、背中を、撫でてくれたのだ。
そんなことが嬉しくて、そんな事さえもが重なって、本当は怖くて、寂しくて淋しくて仕方がなくて、たまらなくて。

『あ、ッ…く、ぅ…あ、あ…っ』

「お前、ちゃんと後で謝れよこの子に。あとついでにお茶でも用意してこい、俺の分も」

「っせえ、わあってるっての」

叫ぶように、泣き散らした。
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