第8章 タイムリミットとクローバー
「っおい、何とかなんねぇのかよこれ!?蜻蛉に御狐神、手前ら得意の発信機は!?」
「外されて妖館を指してますので、本気で外に出ているのかと」
膜の外にいるのは白鬼院、髏々宮、渡狸の三人。
リアが飛び出していったのを横目にただ事でないと判断したのか、渡狸がリアの方へ、女子二人がこちらへやって来るも、こちらはこの有様。
「もう日も落ちてるのに外なんて自殺行為だ、どうすれば解ける!?」
「こればっかりはリアたんが解いてくれなきゃどうにも………抜けられないことも無いんだろうけど、この膜に影響を及ぼすあらゆるものがその効力を失ってしまう。はっきり言ってどうにもならない」
「そ、それなら僕が彼女を探しに…」
「ならん。それこそ獲物が増えるようなものだぞ」
そ、それなら誰か外に協力者は!!?
白鬼院の言葉で、思い出した。
そういえばあいつもマフィアで顔見知りがいたはずだ、プライベートの付き合いだってある構成員が…
「……っっ、圏外って…!!」
「あっれ、もしかして電波もアウトな感じ?」
夏目でもそれは知らなかったらしい。
そりゃそうか、本来こんなもの、仲間に使うようなものじゃないのだろうし。
「、白鬼院、声は聴こえてんな!!?」
「あ、ああ!」
「すまないが、この番号打ち込んで電話かけてくれないか!?俺が話を通すから!」
流石に他人の携帯で首領に連絡など出来はしない。
ならば、部下のプライベートナンバーにかけるのが一番悪用率も低い…こいつがそんなことをする人間ではないと分かってはいるが。
打ち込んでもらい、かけてもらえば、何コールかしてからようやくその番号の持ち主が電話に出る。
が、反応はない。
もちろんだ、知らない番号から連絡がかかってきたのだから。
取ってくれただけ人の良さが伺える、非通知にしなくて本当によかった。
「突然かけて悪い、中原だ!!緊急事態で他の奴に携帯を借りてる!!」
「!そ、その声まさか中也さん!!?何してんですか、緊急事態って…」
電話に出たのは立原道造。
俺も信頼する部下であり、尚且つあのリアが友達を自称しているほどの人間。
「それが、…言い合いになっちまって、リアが外に飛び出してったんだ!俺今あいつの能力のせいで一歩も動けなくて…他の奴らも先祖返りで外に出したくねえ!何とか頼めないか!?」