第8章 タイムリミットとクローバー
とりあえずソファー席にお邪魔して、また膝の上に座っていただいてみる。
するとまあ、すんなりとこちらにくっついてきてくれるもので、簡単に彼女の方から抱きついてきてくれた。
もしかして、離れてる間我慢してたのか…?
「ほほう、やりおるなあ中也殿…リアちゃん、私にも抱きついてくれて構わんのだぞ!!」
『あんたはとっとと私の事放ってどっか行くんでしょ、絶対嫌』
「そ、そこまで言わなくても寂しそうにしてんぞ?蜻蛉の奴」
『は…?』
あちゃ〜…
どこからか、何人かの声が聞こえた気がした。
俺としては、嫌いなわけじゃないんだろうし久しぶりならと、少し気を利かせようとしたつもりだったのだが…ええ、??
『っ、あっそ…!いいんだ!?それでリアが簡単にホイホイあんな変態のところに抱きつきに行って、あんなことやこんなことされるかもとか思わないんだ!?』
「はああ!!?んな事になるような相手に抱きつきに行くわけねえだろお前が!!」
『っう、え…い、やそれは……そういう事じゃなくって、!!やじゃないの!!?』
「お前が行きてぇ時にやめさせたくねえんだよ俺は、」
『そんなこと考えなくても止めたらい「お前はずっと前からこいつらと親しくしてきたんだろ!!?」!?』
つい、大人気なく声を荒らげてしまう。
いや、落ち着け、あまり大きな声で言われるのは確か苦手だったはずだろ。
「…、…お前の事なら、俺よりこいつらの方が分かってる。そうだろ」
『……違う、もん』
「今はそうだ」
『ち、が…っ、……違う…っ、!!』
「!?おい、リア!!!」
「リアちゃん!!?どこ行くの!?」
思いっきり振り払われて、俺の元から飛び出していくそいつ。
何とか捕まえようと腕をのばし、走るも、何かの膜に触れて力が抜ける。
「っく、そ…!、?」
がく、と床に項垂れるように膝をつけば、そのままどこかに行ってしまったリアを見失った。
「……やられた、これ…触ると体に力入んなくなるよ。リアたんお得意の水槽だね」
人魚の力を使った、鎮静作用を存分に含ませた水の膜。
触れるだけでアウトとか、どんなチートだよそりゃ。
「あたしが凍らせてもダメなの?」
「そもそも凍らないと思うよ?それに、こうも球体で包まれてちゃ…能力さえ扱えるかどうか分かったもんじゃない」
「ふはは、拘束プレイか!!」