第8章 タイムリミットとクローバー
「中也さん…なんていうかその、どんまい?」
「思ってねえこと言うもんじゃねえぞ反ノ塚、これは自業自得って言うんだ。俺の」
「あんたねぇ、さっきもさっきで夏目とカルタちゃんと凜々蝶ちゃんにがってばっっっかりいたからなんじゃないの!?」
一ヒット。
「だいたいいっつもそうじゃない!もっと立ち回り方くらいあるでしょうに、な、ん、で!!リアちゃんほっぽって他の子とばっかりよろしくしてんのよ、ええ!!?」
二ヒット。
「こっちがどんだけリアちゃんにハスハスしたいの我慢してると思ってんのよ、次やったら本気であたしがリアちゃんのシークレットサービスの座貰うわよ!!!!」
三ヒッ…いやまて雪小路、手前サラッとリアにハスハスしてぇとか欲望ぶちまけてんじゃねえよ。
「だぁぁああああれがやるか手前になんか!!!髏々宮の方がまだマシだ!!他にまともな奴いねえのに!!」
『カルタに売られた…』
「売ってねえからな!?俺のご主人様だろ!!?」
『〜〜〜っ、リア中也さんのそういうとこほんときらいぃ…ッ』
「「「あーあ、泣かせた」」」
本当に俺だけのせいかこれは!!?
いや、だってお前…ええ!?!?
その瞬間、バンッッッ!!!と開け放たれるラウンジの扉。
そして大きなマントを靡かせて、堂々と入ってくる男が一人。
「ただいま戻ったぞぉ、我が愛しの肉便器よ!!!そんな男など捨ておいて私と結婚しようじゃないかぁリアちゃん!!!」
『あんったが全部の元凶でしょうが!!!この世で一番大っ嫌いよ、この天然八方美人男!!!!歩く二十禁の一夫多妻人間!クズ野郎!!!』
「わあ蜻たんおっかえり〜、できればもうちょっと空気読んで欲しかったかなぁー」
『だ、だいたい束縛しない男なんかそうなのよ!甘い言葉ばっかり吐いて散々懐かせといて、気付いたらすぐに一人で置いてどっか行っちゃうんだからっ…こいつみたいに!!!』
びしぃ、と指を指される戻ってきたばかりの男、青鬼院蜻蛉。
こんなにも哀れな帰還があるだろうか。
「ほう、つまりはもっともっと束縛して欲しいのだろう?」
「…おー、なるほど。たまにはいい仕事するなぁ蜻蛉」
「たまにって」
束縛…束縛なぁ。
いや、したくないといえば嘘になるけど、そうしたらそうしたでこいつの自由がどんどん無くなっていくのではないかと。
思うのだが。