第8章 タイムリミットとクローバー
「君、中原さんに何をされたんだ?被害の声はあげておいた方が身のためだ、それもこんなマンションなら尚更」
白鬼院から向けられる目の色が変わる。
待て、お前俺の事を他の奴らと同列にするつもりか。
『ち、中也さんむっつりだから…』
「へえ、むっつりなんですか中原さん」
御狐神からの目が痛い。
いや、手前に一番言われたくねぇんだよこの陰湿腹黒シスコンストーカーが。
「リア!!?お前俺に何された!?」
『…そ、そんなのこんな人前で言えない、っ』
ピシィッッ、と空気に亀裂が入ったような気がする。
全力で顔を背けて、耳まで真っ赤にさせて…おいおい、聞いてねぇぞそんな話。
「夏目!?お前何か知ってんだろ!!?」
「いやぁ〜…中也たんのそういうの覗く趣味はないかなぁ。まあ毎朝の様子見てればだいたいリアたんの状態の察しはついてたけど」
「ど、どういうことだよ状態って??」
「渡狸君、僕達はあっちで残りのアップルパイでも食べていよう」
「んん…リアちゃんのアップルパイ美味しいね」
学生三人が揃って避難を開始する。
渡狸、そうかお前ってばそんなピュアな…
『そもそもリアのファーストキスいきなり不意打ちで取ってきたのも中也さんだし』
「あったなぁそんな事、確かに変態だわそれは〜」
「マジで言ってるのか!?俺がそんな事したのか!!?」
『最近なんて電気消してくれないのっ、あんなにヤダって言ってるのに…詐欺よこんなの、リア聞いてないもん』
「そ、それはすまん、そういう話があったんなら次から気をつけ…」
じいい、と向けられる目線。
普段から変態だリアが汚れるだと突っ込んでいたそいつらに揃って向けられるそれは痛いもので、ぐうの音も出なくなるほどに追い詰められる。
「ていうか中也さんさぁ…もうちょっと頻度抑えてあげた方がよくない?この子まだ十五歳だし??」
「ひ、頻度!、?」
「いや、まあリアちゃんいつも頑張って誤魔化そうとしてるんだろうけど、なんていうか…なつき具合見てると分かっちゃうわよねぇ…?」
「お前俺に無理矢理されてねえ!!?」
『む、無理矢理とかじゃないけど…その、煽られたらっていうか、中也さん体力底無しだから…あ、』
「下手したら毎日じゃねえの?」
かあああ、と無言で肯定してくださってしまうリア様により、証言されてしまったのだ。