第8章 タイムリミットとクローバー
いれてもらった紅茶のひとつをとっても文句無しの世界一を体で感じる。
やばい、こいつ、本物だ。
疑ってたわけじゃないけれどそれを事実として感じ取ってしまった。
食材もさながらだが、それだけでこんなものが出来上がる程料理というものは甘くはない。
ましてや菓子作りだなんて。
完成してそれを食べる渡狸や御狐神、雪小路なんかあまりの美味さに泣いてやがる。
なんなんだこの逸品は。
「お前え…っ、罪深すぎんぞこんな美味いもん作りやがってぇ…!!」
『り、リア中也さんのお嫁さんになれるかなぁ??』
「こんな旦那で寧ろごめんなあああ!!?」
全力で甘やかすし全力で構うし全力で触れる。
それだけしたって足りるもんか、つか金とれ、取ってください言い値で払うしなんならATMごと捧げます。
『あ、あのね?お手製のベリーソース…』
「うんうん、どこにかけるのがおすすめなんだ?リアちゃんがかけてくれるのか?そうかそうか」
手作りのそれを氷水で急速冷却し、口溶け滑らかなとろとろ食感に仕上げたそのソースとやら。
一定の大きさに切り分けたパイの上部をめくって、リンゴに直接それをかけて記事を戻し、蓋をする。
それからそこにクリームチーズとフロマージュをナイフで乗せて…ってお前、それはダメだそれはいけない、そんなもの美味いに決まってるじゃねえかそれ以上そんな風にするなんてそんな大罪俺には犯せな___
『あ、あーん…♡』
犯した。
有無も言わずに食らいついた。
そして俺は旨みの暴力に晒され、罪を償ってまた悟りをひらくのだ。
あまりにも…あまりにもだろう、こんなご馳走。
贅沢なんて言葉におさめていいのか!?いいわけねぇだろ表出ろ俺、五回は死んでも文句言わせねえぞ俺。
「し、白縹さん…こ、こんな至宝を僕になんて……っ、き、君はもしかして仏か何かなのか…?僕はこんな品を口にしたことがない…それもアップルパイだなんて、アップルパイとはなんなんだ??僕が今まで口にしていたアップルパイとはあれはいったい何という菓子だったんだ???」
白鬼院までやられた。
「ちよちゃん…リアちゃんの作るものは……日々、進化して…、っ…♡♡」
髏々宮に関しては最早手遅れ。
「なんで中也さんなんかのお嫁さんになっちゃうかなあああ…」
反ノ塚なんか…おいまてお前今なんつった、狙ってねえよな!!?