第8章 タイムリミットとクローバー
リアの好きそうなデートスポットはどういうところだろう。
自分の腕の中で寛いでいる彼女を可愛がりながら、思案する。
飯…なんてまあ、毎度毎度そうだしそればかりっつうのもあれだし。
買い物も楽しんでくれはするが、いまいち違うような気がする。
元々の育ちが、青鬼院家に引き取られた後もお嬢様なのもあって、物欲というものはさほどないらしいし。
それを押し付けるのも酷なもんだろう。
となれば、どこか楽しめそうなところ…
「リア、お前何か見たいものとかない?」
『?中也さん』
「はいリアちゃん、パンケーキだ」
『!!!♡♡』
たんと食べさせてやる。
満点御礼だこのやろうが…
じゃなくて。
「映画とか劇とか?」
『中也さん』
「じゃあ動物とか、何かの試合…みたいな」
『中也さん』
俺か。
はい、分かりました。
「もしかしてそういうところって行き飽きてたりする?」
『面倒臭いからはっきり言ってくれない??』
「どういうデートスポットが好きか教えて下さいリア様」
『とっととそう言えばいいのよ』
マジ男前すぎんだろお前。
『…って言っても、ほんとに思い付かないのよ。正直何しようにも中也さんいれば満足だし』
「蜻蛉に拉致られたとかいう水族館はどうだった?あんま普段行かねえんじゃねえの、そういうとこ」
『中也さんがリアより魚見てるとか信じらんなかったからあの後一週間一人で病んでた』
「なるほど、分かった、見る系は却下な!!?」
マジで目が虚無を見てやがった。
こいつガチだ、本気で病んでやがったんだこの反応。
『デートで動物園とか植物園とか行くカップルって何なの…?なんでそんなもの見てるのが許せるのかリアには分かんないんだけど死んでいい??』
そこまでか。
「俺別に興味ねえからなそういうの!?」
『あってもなくてもその時その瞬間に必要価値がそれ以下になってるリアって生きてる意味ないよね』
「必要価値て」
『だから正直わざわざデートとか頑張って考えてくれなくていいし、なんなら妖館デートで全然満足だしもういっその事ホテルとかでやらしいことばっかされてる方がよっぽど好き』
「…なるほど、要するにイチャついてんのが一番好きなんだ?」
『え、』
いや、え、って。
『……え、えっちって思った…?』
「思ってません」
いいなぁこいつ…