第8章 タイムリミットとクローバー
『…いや、他の先祖返りとは訳が違うし……それにあの、…その………』
流石に海音の件に関しては大人組しか知らない話。
連勝が別枠なだけで、学生組は知らない話なのだが。
「だからぁ、いてちょうだいってお願いしちゃえばいいじゃない。ころっと嬉しそうにして引き受けてくれるってあの人」
『あの人に何もメリットがないのに頼めるわけないでしょ、そんなこと』
「「メリット??」」
二人して、声を揃えて反復してから、二人で顔を見合わせてキョトンとする。
「メリットって…メリットしかなくね?まずリアちゃんと生活の全てを共にできる。あんなことやこんな事まで恋人特権でし放題だしお風呂まで一緒に入れるとか」
『連勝もしかしてリアの事そういう目で見「男の子なら普通そう考えちゃうって」否定しないのねそこ』
俺美人さん好きよ、なんて真顔で言うあたりがこいつらしい。
「反ノ塚の意見なんか宛になんないわよリアちゃん?だいたいリアちゃんはいるだけで煩悩が満たされていく癒しの存在でね?それから、好んで引っ付いてきてくれたり甘えてくれたりなんてああああああのポジション変わって欲しい…!!!」
連勝と変わらない気がするのは気のせいだろうか。
いや、それにそんな意見、相手が私を受け入れ、そういう好意を抱いてくれている場合に限られる話。
最も恐ろしかったのは彼がコレクター側に回ることだったが、その線は完全に潰えたことが確認できたので一先ず安心というところだ。
『………ごめん、嘘ついた。リアなんかもう既に死にたい、たすけて』
「助ける役目は中也さんだからなぁ…ちなみに俺はあの人の事信じてるよ?」
『返事聞く前にいなくなった方がもう色々割り切って先に進めると思うの、ねえ、とりあえず一酸化炭素中ど「リアちゃんはここからが美味しいのにそんなことさせるわけないでしょ!」じきにロリなリアに好き放題できるよ野ばらちゃん』
「あああ、それもそれで捨て難……あら、でもそれならリアちゃんお得意の変化でお願いできるじゃない」
『野ばらちゃん話通じなくなるからなぁ〜…もういい、死んだ。死にました。だから連勝、リアの後始末よろしく』
えっ、俺なの?
聞こえた声はまた棒読み。
机に突っ伏して、消えたい衝動に抗って。
消して欲しい、いなくならせてほしい、無かったことにして欲しい。
頭の中はそれでいっぱい。