第8章 タイムリミットとクローバー
「ねえリアちゃん、どこか息抜きでもしに外に出ない?」
『中也さん待ってる』
「それじゃあ甘い物でも食べましょっか、リアちゃんのためならなんでも奢っちゃう」
「野ばらちゃん顔が変態さんになってるよ?」
『…気使わなくて大丈夫。中也さん待ってるから』
自殺もしないよ、と暗に伝えるべく、安心してと野ばらちゃんと連勝に伝えるのだが。
まあ、してという方が無理な話か、前科何犯か数え切れないレベルだし。
「でもリアちゃん、俺もたまには一緒に遊びたいんだけど?」
『…連勝が、リアと?どうして?』
「どうしてって、あんなに可愛がってたのに中也さんに取られっぱなしでちょっとジェラシー?」
「そうよね、中原の奴、いつもいつもリアちゃん一人占めしてばっかりで!」
『大丈夫だよ、もしかしたらそれも今日で終わりかもしれないし』
あっ、地雷踏んだ。
同時に心の声が二つ聞こえたような気がした。
「…いやでも、あの人元々全部知った上でリアちゃんと一緒にいること選んでたんでしょ?心配無いって」
『心配してないよ、寧ろこのままフェードアウトしてくれた方がよっぽどあの人の為だもん』
「野ばらちゃんどうしよう?俺トドメ刺しちゃったかもしんない」
「ねえ、本当にそう思ってるの?」
あれ、俺は無視?
連勝の反応も虚しく、私の隣の椅子に腰掛けて、目線を合わせて私に問う野ばらちゃん。
彼女は相変わらず綺麗な人。
そもそも、こんなに醜い先祖返りである私とは似ても似つかない陽の光に照らされた道を歩んできた人だ。
それなりに名家なりの苦労はあったのだろうが、そこは私とて通ってきた道。
『思ってる』
「リアちゃんの気持ちよ?離れたくなんてないんでしょう?」
『…中也さんの為ならリア、いつでもいい子に大人しく出来るよ』
中也さんのためじゃない。
自分のためだ。
自分が、今以上に彼に失望されたくないだけだから。
「あいつにちゃんと言ったの?一緒にいてって」
『そんなこと言えるわけないじゃない、あの人は普通の人間よ?』
そうでなくとも、私みたいなキズモノ、貰い受けてくれる人なんか本来いないはずで。
「そりゃあ、リアちゃんからお願いされたら聞き入れたくなっちゃうのは確かにそうだろうとは思うけど……言ってもらえると嬉しいと思うわよ?」
…嬉しい?
中也さんが、?