第8章 タイムリミットとクローバー
『あ…すみません、なんでも』
「…首領、その手紙にはなんて?」
「…話し合いがしたいとのことだよ。今日、これから急ぎでね」
「リア、お前何か視えてるのか?…ポートマフィアの不利になるとか、首領が危な『ち、違うからッ』…じゃあ、俺?」
『……違う、』
やけに、大人しい。
というか、色々と、諦めているような。
『…こっちの戦力も増えるし、敵も減る、いい話です。私も…それに、賛成します』
「リアちゃんのお墨付きか……ねえ、不安があるなら着いてくる?」
『へ、』
「いいよ?心強いし…中也君には流石に拠点に残ってて貰いたいところだけど」
それは流石に、と苦笑いを浮かべていたら、しかし、彼女は俺の腕から離れて、真剣な目をしてコクリと頷いてしまったのだ。
珍しいこともあるもんだな。
「えっと、…い、いいの?中也君は一緒に来ないよ?」
『いいです。リア、太宰さんにもう一度交渉しなくちゃならないから』
「!…リア、行くのはいいけど約束。何かあったらすぐに呼べ」
『はい』
「会いたくなったってだけでもだぞ」
『!!、…うん』
なんなのだろう、この言い知れぬ違和感は。
「ちなみにお前が帰ってくるまで弁当食わねえからな?俺」
「おや、手作り弁当かのぅ?」
「!そうなんです、リアの!!」
「おおぅ、そうか、それは良かった…まあ、探偵社の奴らもリアには相当惚れ込んでおるようじゃから、この子を連れていればまずこちらに危害はないじゃろう。私も賛成じゃ」
惚れ込んでる…???
「そうかい、そりゃあ頼もしい。日頃の行いというものは大事だねぇ?」
『あとは黒蜥蜴の三人がついていれば安心かと……喧嘩っ早いんで芥川さんは待機で』
「ははっ、よく分かっているね。流石だ。」
いや待ってくれ首領、ツッコミどころはそこじゃない。
そこじゃないだろう絶対に。
『じゃ、行ってくるね中也さん。いい子にして待ってるのよ?他の人に噛み付いたりしないで』
「賢い犬だからな俺は!?かかってこいや!!」
『あ、二号は連れてくから』
「お前さてはこの未来読んでてそいつ持ってきやがったな」
『当たり前でしょ、抗争中なんだから』
しかし、手を振って首領について行く様は可愛らしく、自然と笑顔になって振り返して見送る。
帰ってくるなら、いいか。
「…何視てるの」
『何も?』
