第8章 タイムリミットとクローバー
自分史上最長の時間をかけてリアの本日の衣服をコーディネートし、それを着せ拠点へ赴く。
「!おはようございます中原幹__」
が、次々に言葉を失っていく部下達の目線は、俺の背中に乗ってる恒例の天使・リア様でもそのまま歩いている幹部である俺でもなく、俺の左手に持ったでかでかとした包みに向けられる。
「ああ、はよ。どうした?」
「…そ、そのお荷物は?よろしければお持ちしましょ『ダメ』!?し、白縹殿…??」
「…ああ悪い、これ荷物じゃなくて弁当なんだよ。ありがとな」
「弁と…えっ、」
そこまで言ってしまえばそれが弁当だとようやく理解しようとしてくれる黒服。
だよな、弁当には見えねぇよな。
「重箱十五段分の愛妻弁当なんだこれが…」
「結婚されてたんですか!!?」
「結婚予定はまだ先だがな?うちのリアの手作りだ、愛が詰まってんだろ」
物量で。
「白縹殿の手作り…!!?この量ですか!?」
「ああ。どうした?」
「い、いえその…いい、彼女さんですね…?」
『ふえ、!!?』
「おい、手前何こいつに向かって照れてやがる」
『だ、だっていい彼女さんって…彼女さんって言われた、!!』
「か、可愛「何か言ったかぁ???」ひいぃ!!?な、何も!!!」
ちっ、こいつ口軽いからすぐに広まるぞこの話。
遂にお前も気付いちまったか、こいつのこの可愛さに。
まあ愛情を注いでくれるのは俺限定だがな。
物量で。
「…にしてもリア、お前なんで今日そのぬいぐるみまで…?」
『!?そ、そのぬいぐるみとか言わないで私の中也さん二号に!!!』
「あーーー分かった、んじゃその俺もどき」
『に!!ご!う!!!』
猛反対された。
いや、でも俺のぬいぐるみとか…本人いるのになんでそんな気に入ってんだよ。
「…二号」
『!よろしい』
「んで?なんでその綿の塊持ってきてんだ」
『かたまり』
「んじゃ綿」
『わた』
やべぇ、ちょっとツボりそうになってきた。
「!おお、よく出来てますねこのぬいぐ…に、二号様」
『!!わ、分かってくれますか!!?』
こいつ、食いつきやがった。
おい待て、そんなに簡単にこいつが懐くと思ったら大間違いで…
「ええ!なんと言っても中原幹部は気高くかっこいい…そんな要素をぎゅぎゅっと凝縮して、且つ可愛らしくデフォルメした…」
あ、懐くわ。