第7章 燐灰石の秘め事
「そもそもあと五時間っつったってタイムリミットだからな?お前分かってんの??逢魔が時とっくに過ぎてんだ、引きずってでも妖館に連れて帰るに決まってんだろ」
『拠点にいたって大差なン、っ…!』
助手席に座る彼女の唇を塞ぐこと、数十回目。
わなわなと震えながらまた抗議の声がこちらに向けられる。
『…だ、から信号の度にキスしなッ、ン…んん…、!?』
「勝手にどこぞに行きやがったわんぱく嬢さんにはこうでもしねえと俺の気が晴れねえんだ、諦めろ」
着いたら着いたで仕事させるつもりねえけど。
そもそもお前が請け負いすぎなんだよ、それも無許可で。
放っときゃもう一つ下の役職の奴らが人数使ってまとめて寄越してくんのに。
駐車場に着いたらリアを無理矢理横抱きにして、妖館に入る。
降ろせとやけに反抗されるが今日は聞いてやるつもりは無い。
五階の部屋に入って、靴を脱がせてベッドに座らせ、まずは髪を解いて羽織らせていた外套を脱がせていく。
するとさすがにそこはアウトだったらしく、小さなその手で制された。
『……あ、の…自分でできる、から』
「…仕置だっつったろ。好きにさせろ」
『!、…っあ、あ…ぁうッ……ン』
指を絡めてゆっくりと仰向けにさせ、また唇を重ね、撫でていく。
帰ってきたんだなぁ、なんてようやくしみじみ俺に感じさせてくれる感触だ。
俺にとっても、触れ合いというものがこんなにも大切だっただなんて…リアのことばかり言ってられないなこれじゃ。
自分の外套の留め具を外していけばあらわになっていく、いつまで経っても感動の薄れることの無い神秘的な彼女の身体。
「今日は赤色?似合ってんな」
『ッ!?は、え…』
「まあ何色でも似合ってっけど」
下着の上から彼女の胸の輪郭を撫でる。
この年にしては豊かな方なのだろうが、俺の手のひらを基準にするとやはり少女らしく、柔らかくて。
可愛…、
『そ、んなキスしちゃ…ぁ、あ…♡』
「嫌いか?」
『へ……う、ううん、??』
だからちょろいんだよなぁ…俺相手だからだろうけど。
どうしようもなく庇護欲に掻き立てられる。
ふにふにしたそこにキスを落としていくのに擽ったそうにするものの、感触自体は気持ちいいようで、段々とリラックスし始める様子のリア。
「…悪い、止めるなら多分今だわ。余裕無くなってきた」
『!、いい…よ』