第7章 燐灰石の秘め事
『っへ、たくそ……触らな…ッあ、!?』
「減らず口叩けてるならまだまだ元気だね?ほら、嫌なら観念しなってば」
『…尻尾、離して…!』
「離したらどんな手使ってでも逃げられちゃうからね」
すぐそこにあった牢用の部屋へ連れ込まれれば寝台にうつ伏せにされ、そのまま尻尾のマッサージに突入される。
マッサージと言えば聞こえはいいが、その実彼のこれは私にとって辱め以外のなんでもない。
『や、っぁだ…イクの嫌ッ、もうやだっ!尻尾嫌ぁ、!!』
「ヤダヤダ言わないで素直になりなよ、吐けばいいだけだって」
『だ、っから…ッ……独断行動で殴り込みしにき、…ふ、ッ!?は、はっ…ぁあ…ッッ!!!、』
尻尾にしか手を出さないのは彼なりの気遣いだ。
だから私だってこんなにまだどこか冷静でいられるわけで。
言うことを聞かなくなる体に嫌気がさす。
腰が跳ねて、だらしなく達して。
「はい、ほんとは何しに来たの?ちゃんと言ったら…夜までと言わず逃がしてあげてもいいよ」
『っふ、…え、』
「僕が好きでこんなことすると思う?」
少し、二人きりになって気が緩んで泣きじゃくり始めた私を気にして、落ち着かせてくれようとするマーク君。
彼の心遣いに…本能だろうか。
自身の作戦の進行状況を確認すべく、中島さんの居場所を…
『……ふ、…ふふ、……ッ、勝った、』
「え?何を____」
途端に鳴り響く警報音。
ざわめく周りに、マーク君も動揺する。
その瞬間に彼の手首を掴んで寝台へ引っ張り、今度は私が彼に馬乗りになるようにこちらへと引きずり上げて仰向けにした。
「…え、っと……これ、もしかして形勢逆転ってやつ…??」
目を点にしてダラダラと冷や汗を流す彼。
虎が逃げたと告げる放送に、私を力づくで退かそうとするが、それにいいの?と問えばギクリとして動きを止める。
『今、有耶無耶にして人虎を追ってって、その隙に私が逃げたところで…このままなら私、一勝マーク君のこと許さないケド』
ツゥ、と胸元に指を這わせるとビクッと体を跳ねさせ、私をどうにかするのを完全に諦めたように力を抜いた。
「………参りました、ごめんなさい」
『…次は無いから』
「…う、ッ…あ、あのリアちゃん?そういうこ、っ…と、されるとドキドキすんだけど、」
あら、とからかうように言って、トップスのシャツを脱ぎ捨てた。