第7章 燐灰石の秘め事
『中也さんいるから寝れてるもん』
「じゃあ心配性の君のその私への過保護癖は綺麗に治ったんだ??」
『……し、仕方ないじゃないですかそんなの』
「仕方なく無い」
『いいじゃん別に、そんな今更なこと!』
「よくないでしょ、それで倒れでもして敵さんにいいようにされたらどうするつもり?君の敵はそもそも組合だけじゃない、純血の妖怪だって、コレクターなら人間でさえ敵なのに」
反論に困って、黙りこくる。
あちらの言うことは最もで、私のこれは言わばただのわがままでしかなくて。
「私の事を思って心配してくれるのは嬉しいけど、十五体はやり過ぎだ。一体いれば十分だし、その程度なら支障もないはずなのになんでそんな『だ、て…太宰さ、死んじゃったらリアっ、…』…あ〜ごめんって、責めてるんじゃないから泣かないで、?」
まるで、親にでも甘えているかのような感覚だ。
そういう関係に恵まれてこなかったのでこれが本当にそうなのかは分からないが、そんな気がする。
『車、っとか事故とか…、ッ、リア、が全部何とかできたもん…っ』
「それはそうだ、リアちゃん強いもんねぇ。うんうん、」
『なの、に追突されるとか…ありえな、…』
「…そっか、視ちゃったんだ」
よしよしとあやすように背中をさすられるのに、ぐずる。
「でも私、リアちゃんそんなに強いんだから、分身つけるとしても一体で十分だと思うの」
『…いや』
「ううん、困ったなぁ…じゃあ、今日までにしてくれる?見ての通り、私もう自力で動けるから」
『……太宰さん弱いもん』
反論できないなぁそれは、と困ったように微笑まれる。
どうしよう、と国木田さんの方に助けを求め始めるその人は私を自力で説得するのを放棄し始めているし。
「お、俺か!!?…そ、そんなに心配なら探偵社の誰かを付けていれば安心だろう、??」
『…ほんとですか?』
「も、勿論…何人かで臨機応変に対応すればそのくらいはできる」
『この人がふらふら自殺しに行くのを見越して先回りして動けるような人がリア以外にいるんですか…??』
「「それがあったか…!!!」」
話が振り出しに戻ったところで、ことの張本人が口を開く。
「じゃ、怪我が完治するまで自殺やめるよ」
「「えっ」」
『本当?』
「嘘ついてる?私」
悟ってみても、本気である。
『……一体ね?』