第7章 燐灰石の秘め事
チュ、…クチュ、
私の口の中を愛撫する彼の舌が、水音を立てる。
やけにゆっくり、そして緩やかに与えられる刺激に心地よくなるのは当然で、感じさせられるのに腰が揺れながらも彼に抱き着いて、離れない。
『んぁ、…っン、…む…』
軽く区切りがついたところでゆっくり離れて、見つめ合って、撫でられて。
やば、なんか幸せすぎてこそばゆい。
ここまでしなくてもいいのにと、いつも思う。
もっと、乱雑に扱って、都合のいいように使ってくれればって。
「…、…何、そんな見つめて」
『…わかんな、い』
「ふーん、?…そんなに見てたい?俺のこと」
『うん』
「即答かよ、素直だなおい」
チュ、チュ、と可愛がるようなバードキスを数回。
慣れてそうなのがむかつく。
『女ったらし…』
「なんでそうなんだよ、お前にしかしてねえだろが」
『お前ぇ??』
「リアちゃん?」
『……うん、そうね…♡』
ちょろい自覚はある。
でも好きなんだもん、いいじゃない。
__じゃあ、よろしくリアちゃん__
怖かったら逃げてもいいと、泣いても怒らないと私に言い、私をちゃんと女の子として生まれさせてくれたあの人が、呼んでくれてた。
だからという訳ではない…と言いきれず、何より、ちゃんと愛されてるような、可愛がられているような、そんな気持ちにさせられるのが嬉しいからそう呼んで欲しくなる。
子供みたいに、甘やかしてほしいの。
「太宰に他に何かされた?」
『キスマーク吸われたくらい』
「くらいって、リアちゃんそれセクハラっていうんだぞ?分かるか?」
『じゃあ中也さんはもっとリアにエッチなことしてるからもう末期なのね?』
「そりゃそうだろ。相手がお前なんだから」
普通に。
さらりとまた言ってのけるその人に、全力で照れさせられてノックアウトされる。
悔しさに彼の胸へ顔を埋めて隠し、グリグリと押してみればこらこら、と笑われた。
『…なんで嫌がんないの、……悟られるのも、触るのも』
「……悟ってもらった方が、安心する時もあるだろ?それに俺、リアちゃんに触れんの好きだし、触れに来てもらえたらすんげぇ幸せ」
幸せだと、不安になって、いつも聞いてしまう。
なんでって。
「今まで我慢してた分、俺が死ぬほどくっついててやるから死ぬほど甘えとけ」
親にさえ、触れ合いを拒まれ続けた存在なのに。