第7章 燐灰石の秘め事
「そもそも雪小路も雪小路なんだよ!手前がんな言葉ばっか使ってっからこいつにも悪影響がだな!?」
「なぁによ、実際変態行為してるのはあんたの方でしょうが」
「髏々宮を見習え、髏々宮を!!!」
ぷるぷる、と、口にしそうになるのを堪えて早数分。
べ、別にいいもん、気にしてないし何にも。
何にも…
「…リアたんリアたん、残夏お兄さんが今度は食べさせたげよっか〜☆」
『…らないもん、』
首を横に振ると、ですよねー、と笑顔のまま諦められる。
「じゃ、じゃあ中也たんぬいぐるみとかどぉ?」
『!!いる、!』
「うわぁ、すんごい食いつき」
パッと出されたそれは私が胸に抱くのに丁度いいサイズで、可愛らしい中也さんを模したぬいぐるみ。
つられて残夏君の方に駆けていけば、彼はしゃがんで私に言う。
「それねぇ、カゲたんからのプレゼント。先に合格祝い渡しとくってさ」
『合格、って…試験まだちょっと先なのに、?』
「信頼してるってことじゃない?」
『…うん、…えへへ、こっちの中也さんは正真正銘リアだけの中也さんだ』
ピシャァァア!!!
雷が落ちたような音が聞こえた気がした。
「あー…っ、あっ、ごめん中也たん…ぼ、僕多分これ地雷踏んだわ、後頑張って☆」
「てめッ、!!…り、リア…さん、??」
『あはっ、すごい、ほんとに喋ってるみたい』
「リア!?こっちに本物がいるぞ!!?」
『ふふふ、どうしたのそんなに焦って?…別に何にも気にしてないのよ?リアが初めてまともに名前呼ばれるまでにあんなに時間かかったのに、なんで皆はこんなにすぐに呼んでもらってばっかりなんだろうとか、そんなこと全然気にしてないし』
「お、ま…ッんなこと気にしてたのかよ!!?」
『お前とか、手前とかこいつとか部下とかあいつとかあの馬鹿とかサボりとかそんな風にばっかり…シークレットサービスになるまで私を呼ぶ時に白縹とさえまともに呼んでこなかったのに変よねぇ』
白鬼院…それに雪小路。
髏々宮。
私と同い年の子相手でもそうだし、歳上の野ばらちゃんだってそうなのに。
『ねえ中也さぁん…どういうことか説明してくんない??』
ぬいぐるみに向けてにっこりと微笑んだところで、彼はボソリとそれを口にする。
「…なんで苗字のがいんだよ、普通あんだけ一緒にいりゃ名前で呼びてぇもんだろが」
『え、』