第7章 燐灰石の秘め事
朝食と言うにはお昼過ぎる時間帯。
所謂ブランチを楽しむべく、中也さんがカートで運んでくれるのでそれにくっついていく。
「…あの、リアちゃん。ついてこられちゃ俺が席まで運ぶ意味が半減すんだけど」
『なんで?』
「ご主人様は歩かず待っててくれりゃいいんすけども」
『嫌だけど…?』
ぎゅぅ、とくっついた腕に擦り寄れば頭を抱えたような声を出されるも、内心嫌ではないらしく葛藤される。
「リアたんリアたん〜、あれだよ?中也たん、リアたんの執事さん希望だからさぁ…ほら、そうたんイメージしてみてよ」
『そう君はいいのよ、凜々蝶ちゃんが自分で動こうとしたら自殺しちゃうから』
「君はよく分かっているな…?」
「…ほう、じゃあ俺もそういうスタンスでこれからは『中也さんが全部するとかリア自殺しちゃう…』血縁ってこういうことだよなぁ」
ぶわっと涙を目にためて割と本気で心臓の鼓動が早くなった。
ありえない、この人に何でもかんでもさせたい放題とか。
『…!わ、分かった!!リアが中也さんのメイドさんする!!』
「却下」
『ふえ!?い、いらない!?なんでも言うこと聞くよ!?便利だよ!!?』
「いらねぇな」
『いら、な…そ、そう…』
ピシッと固まるその場の空気。
しかしそれに気付くことはなく、頭の中でその単語を反芻し続ける。
「…えっと、中也さん?その子多分意味間違って捉えちゃってると思うよ?」
「は?間違ってってどういう意味だよ」
「いやぁ、ほら…役立てないなら要らないって言われてるようなもんだと思ってるからリアちゃんは」
「?誰もんなこと言ってな…って、リア!!?どこいった!!!」
『ぴゃ、ッッ!!?!?えっ、ご、ごごごごめんなさっ、』
「だぁぁぁああお前はっ、またそんな隅っこに隠れて!とっととこっち来い!ほんっとにすぐどっか行っちまって…」
『て、手間かけちゃってごめんなさ「あああああ違う!!違うから、怒ってねえし呆れてねえから!!」そ、存在しててごめんなさ…!!!』
待てって!!
エレベーターに逃げ込もうとする前にこちらまで走ってきた彼に腕を掴まれ、それにびくりと肩を震わせる。
い、いや、だって要らないって…さっき自分で言って…
「…っ、……一緒に飯食って、くれねえの…?なんでも言うこと聞いてくれるリアは」
『え…、…食べ…ま、す』