第7章 燐灰石の秘め事
こんな格好で散々に優しく甘く扱われたのは初めてで、お互いに使い物にならなくなるほどに触れ合って、終わってから私を縛るものはなくなり、好き放題に彼にひっついて。
「…も、…マジで暫く出ねぇ、」
『……嘘つき、それ言って…っ、…ま、えなんか次の日すぐ元気だった、くせに』
身体の火照りが鎮まらない。
ビリビリとした余韻がおさまらない。
「おま、っ…昨日だってあんだけ、してんだぞ…」
『こういうペットも悪くないわね』
「アホか、ペット扱いすんな自分のこと」
『…ごめんなさい』
目を丸くして、きょとんとして思わず謝る。
あれ、なんで謝ったんだろう。
「…あくまで対等なのが恋人だし、なんなら俺の方がペットみてぇなもんなんだよ。覚えときな、ご主人様」
『……じゃあ命令、キスマーク…って言うか、噛み跡付けて』
「そういう痛てぇのは聞きたくねえんすけど?またなんで…」
『見せびらかしたくて』
「…」
カプ、と噛みつかれる首筋。
歯が立てられるのに、少し震える。
しかし私の意思を尊重してくれるらしく、これ以上遠慮はしないそうで、そのまま私を抱きしめ、歯が貫通しない程度に噛んでくれた。
『…食べ、たからね…覚えときな、さい…よ』
「なんなら、俺のことも食ってくれちまっていいけど?」
『……!、…同じとこ?』
「そりゃ勿論」
言われるのと共に、さらけ出される首筋。
そこに口を付けて、歯を立てる。
「おい、全然力入ってねえぞ。もっとしっかり噛み付いてきやがれ」
『ッふ、…!』
何度かに分けて、じっくりと付けたそれを満足そうに自分で撫でて、彼はまた私を抱きしめた。
「っぷ、下手くそ…お前、“そういう目”で周りから見られるようになるって覚悟出来てるか?」
『?うん』
「そういうところは度胸あるよなぁこの男前は」
『中也さんってリアのこと撫でるだけでもエッチよね』
「待て、下心ねぇだろ今は」
『…なんか手慣れててムカつく』
そっと頬に添えられる手にびく、と目を瞑るが、それからそこを撫でられるばかりで、何もされないのに疑問を浮かべて恐る恐る目を開ける。
『?…、??』
「…お前にしかしたことねぇから、頑張って力加減とか覚えたんだぜ?よく出来た従僕だろ」
『……ちゅうしてくれたらもっといい子』
「!そりゃあ…喜んで」