第7章 燐灰石の秘め事
安心安全な睡眠をとって気持ちよく幸せに浸っていたその夢の中で、事は起きる。
あれがきた。
むくりと一人で起き上がって、昨日二件も依頼に赴いたのもあってクタクタに眠りこける我が上司様の頭をそっと撫でてから、昼間の陽の差すラウンジに出た。
丁度休日だったのもあって皆が暇を持て余していたのと、元々私と残夏君とで話し合っていたこともあって彼が皆を引き止めていつものようにはしゃいでくれていたから助かった。
「…あっ、きたきた。おはよーリアた…、!?えっ、ちょ、リアたん!?服!!」
『ふえ、?服が何、ちゃんと着てきたからいいでしょ…』
「そうじゃなくって衿元しめててくんない!?キッズ達には刺激強過ぎるからそれは、!!」
言われるように、視線の向く方へ目をやるも、シャツから覗く胸元はおろか、ラフなホットパンツの下に伸びる脚にも大量に強請っていた紅い華々が散らされている。
なるほど、これは恐らく首のも見えてる感じのあれね、鎖骨とかも。
『…リアもキッズよ?』
「えっ、リアちゃんどしたのその量?もしかして全部中原さん?」
『!お、お目が高いわね連勝のくせに…ふふ、いいでしょ』
「「「「いいとかなのか…??」」」」
連勝以上の年齢層の大人達から微笑ましそうに問われるのだが、私はこれでも満足していない。
もっと付けていいのに。
『じゃなくて、ちょっと今日皆には外出控えて欲しいなと思って』
「!ど、どうしてまた急にそんな?」
凜々蝶ちゃんからの真面目な問いに、ありのままを話すことにする。
『前々から予知はしてたんだけど、ついさっきやっと予知夢に出てきちゃって…今日外出したら、下手したら操られて死ぬから』
「さらっと凄いことを言うよな君は!?」
『えっ、だって言わずに外出られちゃ困るじゃない』
「君は出るんだろうその様子じゃ!!」
『まぁ、仕事だから…あ〜眠…』
くぁ、と呑気に欠伸をするのをよーしよーしと野ばらちゃんと連勝に撫でられ、気分を良くする。
凜々蝶ちゃんもだいぶ慣れてきてくれたよなぁ、私にというか…ここに。
中也さんが私についてる分、これまでよりも若干時間がかかった気もするけれど。
「だ、大丈夫なんだろうな…?」
『…大丈夫大丈夫、上司は盾にするものだって私が言って____』
むんず、と、掴まれる頭。
「だぁれが盾だって…??」