第7章 燐灰石の秘め事
『連勝、は…連勝は、ね……あの、ね、……リア、がいなくても別に、それなりに生きてくだろうなって』
「そりゃあな、そうしなきゃ生きてけないし」
でも、さすがに死ぬような真似されるんなら死んでも止めるよ?
前髪をサラリと掻き分けて、紅い色の瞳を見つめて、彼は言う。
『でも、リアは…ほら、別にそんな……ね、?』
「じゃあお前、夏目が同じようなこと言って自殺しそうになっても放っておくのか?」
『…時と場合による。いなくなった方が楽な時って結構あるし』
「んふふ、僕ならリアたん絶対止めるけどね?♡」
へえ、どうして?と聞き返せば、単純に、死んで欲しくないからと返される。
理解が出来ない、相変わらずみんな、変な人達。
「それに僕だってさあ、そろそろ大人んなって幸せになってるリアたん見たいのよねぇ」
『!!!…いや、無理だと思う…けど、』
先祖返りは、生まれ変わり、同じような運命を辿ってまた死んで、生まれ変わっていく。
短命といえばそうだけれど、私の不幸体質というか、運の無さは別に今世に始まったことではないのだ。
「ええ?でも、今世には中也たんいるじゃない」
『っ、…それ、が怖いんだけ…ど、』
ピク、と残夏君以外の三人が表情を固くする。
「だぁいじょうぶ、百目の僕を信じなさいな」
『……こっちだって、悟りなんですけど』
「相手のために自分が死ぬことが、必ずしも喜ばれることじゃあないってこと、覚えたんでしょう?」
『!!』
織田作之助…彼のお陰で、よく言えば知ることのできた、悪く言えば知りたくなかった感情だ。
「大丈夫だよ、リアたん強いし。中也たんなんかその何倍だって強いんだから」
『い、や…でも、結局なんの力にもなれな、いんじゃ…』
「力っていうか、リアたんいないとその人、幸せになれなくなっちゃうと思うけど?」
へ?と、目をぱちくりさせて、残夏君を見る。
するとにんまりと笑いながら、言い放った。
「だぁって、リアたんいなきゃ一生独身生活だよ?こんなモテなさそうな男、リアたん以外の女の子に彼女なんか出来ると思う??」
『は、っ…はぁ!!?何言ってんの残夏君!?あげないからね!!?』
「いや、誰も欲しがんないから飲んだくれの喧嘩好きのマフィアの幹部とか…」
しかも口悪いし。
言われるそれらに憤慨する。
『わ、悪口言わないで!』