第7章 燐灰石の秘め事
転々とカフェやバーを巡り尽くして、妖館に帰宅。
ラウンジに入ったところで、こんな時間なのにも関わらず起きている人物が三人。
反ノ塚連勝、御狐神双熾、夏目残夏の三人だ。
『…おはよう?』
「ほらぁ、ちゃんと帰ってくるって言ったでしょー?僕」
「おかえりリアちゃん、そしてどっちかっていうとおやすみなさいかな俺は」
「リア、貴女また勝手に自殺まがいなことをしでかしたんですね??僕が見ていないからって、少し油断しすぎてるのにも程がありませんか?ねえ」
いや待って、なんでそんなにおこなのそう君??
『?…な、なんで三人ともこんな時間に?』
がっくりと項垂れる三人、そして中也さん。
えっ、なんで中也さんまで?
「お前な、俺がお前のこと探しに行ったのだって反ノ塚から連絡があったからだからな?全員お前のこと心配してすごかったんだからな??」
『えっ…な、なんで?』
あああああ、とわなわな震える中也さんをよそに、リアちゃん、と呼ばれて連勝の方に振り向くと、ぽふぽふと頭にその手を乗せられる。
『…な、に』
「……無事でいてくれて、良かった」
『へ、…?』
本気で、安心した様子で微笑む連勝が、泣きそうで。
「多分、俺がいたから関わらねえようにってあのまま嫌な顔もせずに着いて行ったんだろうと思って…お前が選んだことだったんだろうけど、俺や周りのためなら平気で危ないことでも頑張っちゃうから。帰ってきてくれたの見て、ホッとした」
『…れん、しょ……、』
「…勝手にいなくなろうとしないで、?お願い…俺、寂しいよ?」
同じ事を、前世のこの人にも言われた記憶がある。
いつも、毎回そう。
簡単に崩れてくれてしまう涙腺のせいで、甘えたくなってしまっただけだ。
あんまりにも、恵まれすぎてる言葉だから。
『ッ、…ほ、んと…?』
「うん、本当に。蜻蛉が居場所見つけてくれたんだ、また今度甘えてやれよ?」
『……カゲ様がどうして?』
「あんなにお前のこと大好きな奴が、心配しないわけないでしょ」
好き、とか。
信じないように、してるのに。
また置いてかれたって、馬鹿を見るのはきっと…また、私の方なのに。
『…置いてった、人なんか……知んない、わよ』
「へえ、じゃあ一回もそんな事しなかった俺には素直なこと言ってくれる?」
ゔっ、と胸を刺されたような声が三つ。