第7章 燐灰石の秘め事
どうして怒られているのか分からない。
なんでまだ怒られなければならないのか、分からない。
「り、リアちゃんもそんな泣かないで…、中也君、心配しただけだから。ね??」
『心ぱ、……?リア、に…ど、して…?』
「!!おまっ、…何がどうしてだ、ふざけんのも大概に……ッ、!!?」
『わ、かんないもん…っ、ふざけ、てないもん………ッ、中也さんわかんないんだもん…、』
怒んないでよ…っ
怖いながらにも伝えられたのは、相手がこの人だったからだろうか。
「…、悪い、強く言いすぎた……けど。…なんで、心配されてるか分かんねえの、?」
声色が、優しくなる。
そんな彼の方を見ることも出来ず…かと言って、正解が分からない。
『……な、んて…言ったら、ちゅ、うやさ…怒んな、い……っ…?』
「…嘘、吐かねぇならいい。何言ったって、失望しねえよ…?」
『ほ、と…?ほん、とに、??…り、リア…ま、た信じちゃう、よ?いいの?』
「!!、っ…何言っても、嫌いになんかなんねえから」
呼吸を整える内に森さんに背中を撫でられて、段々と落ち着いてくる。
だから、また馬鹿みたいに、そんな口約束を信じようという気になってしまったのだろうか。
嫌いに、ならないって…本当かなぁ…、?
『だ、…て、中也、さん……一緒いたく、ないって言っ、た…から…』
「…、……俺が、お前の事嫌いになっちまったって思ったのか、」
口で肯定するのが恐ろしくて、唇を噛んで、ぎこちなく頷いて。
「…それで、拠点から出て行っちまったの?」
『……ん』
「俺、拠点にいてくれっつったじゃん…また、後で構うから待っててくれって」
『…面倒、だった、かなって思っ』
言葉が、紡げない。
認めてしまっているようで、怖い。
『大人し、く…して、消えちゃえば、い、かなって…あ、あの、ね中也さん、?あの、…り、リア妖怪、にも勝った、の…二十匹くら、い………そ、それなら次、は連れてってくれ、る…?』
「…お前が相手してたのは、五十二匹だ。……監視映像に映ってただけならな」
『…じゃ、あ……強い、?』
「お前が、強いのなんかとっくに分かってんだよ…っ、……怪我して欲しくなかった、だけなんだ…なのにしてちゃ、お前のこと傷付けてまで突き放した意味ねえじゃねえか…!」
なんで、喜んでくれないノ…??