第7章 燐灰石の秘め事
機械の音が、耳に響く。
あれ、私寝てた…寝れないのに、なんでだろ。
やけに暖かいし、体動かしにくいし。
自分が目を閉じていると理解するのに少し時間がかかって、ピ、ピ、…と鳴るモニタ音の正体を確認しようと目を開ける。
意識が覚醒すると共に身体中の怠さと、指先の冷えに気が付いた。
感覚、分かんないやこんなのじゃ…
なんて、自分の状態を見ようとして。
起き上がれない原因が、自分の体の不調と…私の腹部に布団の上から手を乗せて、寝台にうつ伏せになって眠りこける見知った人であると気がついて、ゾッとしたのだ。
なんで、…いるの。
どうして、こんな奴のところに。
考えても考えても分からなくて、しかし読むのはもっと恐ろしくて、途端にパニックになる。
『は、っ……、ハ、ァ……ッッ、…』
息、吸えない。
もがいても苦しくなるだけで、どうしたらいいのか分かんないの。
「、…?……リ、…っ、リア!!?」
『ッ!!?、っひ、は…ッあ、…!!』
私の状況を瞬時に察したのか、飛び起きたその人はナースコールを押して、私に両腕を回して抱きしめてくる。
それに余計に怖くなって思いっきり肩を掴んで離そうとするのに、離れてくれない。
『や、やッ!!!、っだ、あ……!!』
「…聞け!!落ち着いて、ゆっくり息吐く…できる子だお前は。合わせろ、吐くんだ」
『!?、っ、は、…ッ』
大きな声にビクついて、言われるようにそれを実行する。
必死に息を吐いていけば今度は彼が息を吸うので、それに合わせてできるだけゆっくり、吸って。
できると頭を撫でてくれて、苦しいのに溢れる涙がこぼれてきた。
これじゃ…私、ほんとにこの人に生かされてるみたいな。
「…できるようになってきた。偉いぞ」
あ、れ……なんで、この人私なんかのこと褒めて…?
バタバタと駆け込んできた森さんの目の下には隈があって、私を酷く心配した様子でやってきて。
「リアちゃん、どこか体の調子がおかしいところは、!?寒くない!!?」
『え、…何、が…』
「お前、反ノ塚が連絡入れてくれてなかったら危なかったんだぞ!?分かってんのか!!?」
『っふ、…え、あ……は、い』
「ちゅ、中也君、ちょっと」
分からないというのが本音だ。
けれど、目の前の人物が先程までとは豹変した様子で…怒って、いるから。
『ごめ、なさ…ッ』