第7章 燐灰石の秘め事
「ねえリアちゃん〜、機嫌直してよそろそろ」
『…な、ん、で、また支援派遣なの』
「被害って抑えたいし、こっちに戦力集めときたいじゃない??」
『だあああから、あっちに芥川さんのがいいって言いましたよね私!?手負いなんだから拠点落としになんか赴かせなくとも!!あっちの軽い方がいいんじゃないですかって!あれほど!!!』
呼び出しに応じて首領室へと足を伸ばしたのが事の始まりだ。
お互いに帰宅の頃合かとゆっくり準備を始めた頃に、呼び出しがかかった。
それに応じた結果、これから俺がまた支援へ向かうという話の流れになったのだが。
「逢魔が刻だから、リアちゃんにはこっちにいて欲しいの…分かってくれない?」
『分かんない!リア全っっっ然分かんない、!!!』
「ほらリア、首領相手だから言葉遣い」
『え?リアという飼い主様に向かってなんて肝の座り方をしたわんわんなのかしら、もう一度言ってくれない??』
「首領すみません、先にこっち何とかしてください」
「中也君までやられた…っ」
まあ、組織の立場上森さんの言うことは絶対なのだが、ことリアに対してそれが百パーセントまかり通ることはほぼ無いに等しいことである。
そもそもこのポートマフィアが安定するまでの間の手助けやらなんやらで、森さんからしてみれば頭の上がらない人物なのであると本人により話されたのは今でもよく覚えていることだ。
それこそ、リアが組織入りする際に紹介とともにそれを知らされたのだから。
それにまあ、今となっては…
『え?リアには貸しがありますよね??中也さんに無理矢理あんなこと命じといて今更でかい顔させると思ってんですか?え??』
「あの件に関しては本当に申し訳なく思っ『じゃあせめて私の同行くらい許可しましょうよ??』…それはダメだよ、僕個人の私情もかなり挟んでるけど許可できない」
『リアから今日二回も中也さん引き離したくせに』
「ぐっ、!!!」
トドメを刺されたかのような声が聞こえた。
「…いや、リア?でも確かにこれからの時間なら俺も許可しかねる部分があるぞ」
『はぁ、?許可しかねるって何、女子供一人無事に外出させる自信もないくせにシークレットサービスなんかやってんですか?』
「自信とかじゃなくて、敵が増えるとって話だよ。人間サイドと妖怪サイドが手ぇ組んだら危険だろ」
『…やだ』