第7章 燐灰石の秘め事
彼の赴いた先は近場であり、彼自身が出向いたことによって恐らく事態はすぐに収拾する。
それでも待ち遠しいものは待ち遠しいもので、せめてもの置き土産に彼の外套を強請ったのだが…これがまた残酷なもので。
彼のにおいがする。
あったかくて…いつも、中也さんと一緒にいる。
大人しく寝ていよう…なんて考えられもしないのが不眠症患者で、時間を潰す方法といえば仕事くらいのものだ。
したらまた悲しませるから、しないようにはしているけれど。
手伝ったら、泣いちゃうし。
『っは、…』
中也さんの指、男の人の指で…私の弱いとこ、擦っただけで感じさせちゃう。
ああダメだ、ヤラシイこと考えないようにって耐えてたのに。
あの人がいやらしいのが、悪いんだもの。
なんて、外套にくるまりながら彼のにおいで、彼の事で、頭がいっぱいになる。
幸せ…このくらいの方が、落ち着いていられる。
が、ふと、彼の外套から読んでしまった。
私の見ていないところで…私の事を想いながら、そこの処理を自分でしてしまう彼の過去を。
勿論、私の気付かないところで。
そりゃそうだ、彼は優しいから、私を好き放題に使い切ってくれないのだから。
だから自分でそれを握って、扱いて……私の事を思い浮かべて一心に…、?
『……ふ、え…?』
やらしいこと、いっぱい考えてた。
私のぐちゃぐちゃな姿、軽蔑するどころかそれに興奮して、もっともっとって、いっぱい。
本人の了承も無しにここまで読むなんてしないようにしてたせいで、知らなかった。
罪悪感があるにはあるけれど、こんなに我慢させてたなんて知らなくて。
『…っん、…』
彼の理想を叶えられるかは分からないけれど、少しくらいは私だって頑張ってみようって。
彼の想像する私を読んで、その通りに実行する。
下着の中に手を滑り込ませてみると、普段彼の手が触れているであろう、愛液に塗れたそこが暖かく絡みついてくる。
変な感じ…他の人の精液掻き出すくらいでしか、触ったことなんて無かったのに。
擦ってみてもいつもみたいな刺激はない…けれど、いけないことをしているような気がして、興奮する。
こんな、中也さんの外套で彼の事を想像しながらだなんて。
いや、彼はそれをしているのだっけ…?
『ッえ、…あ、…♡』
考えて、読んで、感じて。
こぽ、とまた、蜜壷からそれが溢れてくる。