第7章 燐灰石の秘め事
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「お、起きたか。どうだ?体調は」
『…、……あ、れ?』
目が覚めたのは、中也さんの執務室…のソファーの上。
なんだかやけに優しい気がする。
「…おい、リア?」
『へ、…っ、な、名前ッ、!!?』
唐突に呼ばれる名前に飛び起きて、勢い余ってソファーから転落して頭を打つ。
「おい!!?何してんだお前、大丈夫かよ…」
慌ててこちらに駆け付ける中也さんにしゃがんで視線を合わせられれば胸がまた鳴る。
あ、違う、こっちが現実だ…じゃないと私がこんなに取り乱してるのに、この人がこんなに戸惑ってないわけが無い。
…落ち着いているわけではないけれど。
『……中也さんの所有印欲しい』
「ああ!!?いきなり何を…っ、どうしたんだよさっきから!?」
『あ、いや…別に、』
「……あーいや、悪い、びっくりしただけだ。印な…いいけど、しんどい身体に付けなくてもいいんじゃ、」
『…おねがい』
狡い言葉。
私のこの言葉に、この人は何故か弱いらしい。
断れない…というより、断りたくなくなるらしくて、どうしてもして欲しければそう言うようにと言われて使うようになった。
少し考えてから、彼は私の体を両手で抱えて…、え??
『っ、、!?中也さ、ッ、!!……?』
ぽふ、とソファーに戻されればそのまま仰向けに寝かされて、少しシャツをはだけさせてから鎖骨の下あたりに唾液を落とし、舌で撫でる。
「…、痛かったら、拒めよ」
『え、っ…な、なんでキスマークなんかでそん、なッ…、ん、ぁ…っ』
ちゅる、と唾液と共に唇で強めに吸いつかれ、そこをまた舐められて。
強めに…しかし普段よりも控えめなそれが、何度も、何度もそこを吸う。
しつこく、何度も。
愛を刻み込むようにして。
『、…お、いし、ですか…そん、なの』
「…ん、美味い。それにこうやって愛してたら、すぐに俺の姫さんが甘えてくんの…可愛くて」
『!!っぁ、…』
違う、もっと甘えるよなって、言外に私に命令してる。
抱きしめて、もっと食わせろって。
貪りつかせろって、言ってる。
読まなくたってわかる、だって私Mだもの。
ゾクゾクして堪んない、こんなの。
『…き、す……して、くらさい』
「!ん、よく出来ました」
また、撫でてくれる。
お願いして褒められるなんて、毎度ながらすごい人だ。
だから、大好きなの。