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glorious time

第7章 燐灰石の秘め事


会議室にてこれからの私の動きや方向性を森さんから話されるその空気は両極端で、一部では微笑ましそうな穏やかな空気が...そして我が直属の上司様となった中也君、もとい中原さんからは酷く重たい空気が流れてくる。

「...とまあ、というわけでゆくゆくは.....?リアちゃんどうしたの?大丈夫かい、顔色が悪いよ」

『!そうですか?ゾンビみたいな生命力してるんで平気ですよ』

「空気に当てられでもしたか?つうかずっと立ちっぱなしだし一旦座ればいいものを...」

なんて言って隣の椅子を引いてくれてしまう中原さん。
そういうこと、しないで欲しいのに。

嫌なら、なんで隣になんか...

そちらばかりを気にしていたからだろうか。
それとも、記憶が曖昧だったからか、はたまた中原さんと再会して浮かれすぎていたのか。

「...白縹..、リア...?.....白縹、ですか。可愛らしいお嬢さんですね」

しかしそこで、そんな幸せのツケが回ってきたとでもいうようにして、私の耳を舌でぬっとりと撫で回すような声が、襲う。
いや、響いただけだ...そんな、なんで襲うだなんて感覚に...

声のした方...一番遠くの席に向けて顔を上げると、そこに在ったのだ。
私の全てを奪ったものが。

『え...、あ.......、えっ、...と...?』

狼狽えるな、中原さんに勘づかれたらそれこそ私は終わりじゃないか。

「これは失礼、初めましてだね白縹殿。よろしく」

こちらに歩いてくるその人に、手を伸ばされる。
掴まないわけにもいかない、こんな場じゃ。

しかし、それはつまりこの男の何かを読むということでもあって。

恐る恐る...に見えぬよう、普通の速度で手を重ねれば、おぞましい感覚が流れ込んでくる。
嫌な汗が流れそうになったところですぐにぱっと手を離した彼...五大幹部の一人であったらしいAという男は、私を舐めまわすような目で見て、さわやかに微笑んで席に戻っていく。

“終わったら、執務室へ”

読み取ったそれは絶対の命令。
聞かなければ、何をされるか分かったものじゃない。

下手すればこのポートマフィアが、丸々敵に回る可能性だってある。
だって私は…私が人魚の血肉の持ち主であることを、この男は知っているのだから。

「…まあ、仲良くしてあげてくれ。それじゃあこの場はお開きということで」
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