第6章 スカビオサの予兆
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『本当にいいんですか?私みたいなド素人、いきなり準幹部で中也君の部下になんて』
「君以外に務まるような子も他にいないしいいんだよ。本人には僕が言えば通ったし」
自殺未遂の現場で保護されてから数日。
他の幹部格の方々へと挨拶すべく、森さんに直接連れられて会議室へ赴く。
『認めない人だっているでしょうにそんなの...紅葉さんとかならまあまだ面識程度ならありますけど』
「僕が言えば全て通るから、君は心配しなくていい。それに、中也君のそばにいられる絶好の機会だよ?いいの?」
『そ、っれは...その...』
「ほら、着いた。僕が先に入るから着いてきたまえ。勿論中には中也君もいる」
指示されるままに、中に入る。
そこには五大幹部、そして遊撃隊の芥川さんに樋口さん、黒蜥蜴百人長の広津さんが並んでおり、面識のある広津さん、そして紅葉さんには目を丸くして驚かれた。
「ほう...、これはこれは、可愛らしい女子が入ってきたものじゃ」
「ふふ、紹介するよ。先日、中也君の直属の準幹部として所属が決まった白縹 リアちゃんだ」
知らない人に囲まれるのにはあまり慣れていなくて、つい森さんの背に隠れそうになるが、その人の声を聞いてそちらを向く。
「首領、なんとも聞きますが、どうしてそんな歳の女に準幹部なんてて?今まで空席だったでしょう」
迷惑...とまでは思っていないものの、不信感はやはり募っているそうで。
まだ組織に入ってから戦闘もしていないしまともに仕事もしていないから余計にだろうけれど。
信頼されていないのがひしひしと伝わってくる。
『...、あの、首領。やっぱりその「これ中也、その娘に向かってなんという口の利き方じゃ」、?え、あ..』
が、それに紅葉さんが注意をしてしまうので、余計に本人の不信は募るばかり。
やば、早速自信なくなってきた。
やっぱり下手に関わらない方がよっぽどこの人の為だったんじゃ...
「姐さん...いやしかし、それなりの仕事になれば危険もついてまわりますし、様子を見てからでもいいんじゃあ...」
危険、って。
『.....大丈夫です、多分...何とかなります』
「...大丈夫って、手前なぁ」
怯えた素振りを見せたら、益々信頼に欠けてしまう。
堂々としてなきゃ...折角いつでも一緒にいられるようにってしてくれてるのに。