第7章 燐灰石の秘め事
森さんにそのまま呼び止められた中原さんには、軽く私をよろしくと伝える程度の目的であったということは聞こえていたので特に警戒はしていない。
問題はこの後、仕事の詳しい説明や拠点の案内などを誰かにしてもらう予定なのだが、どうやってAとの都合をつけようか。
なんて迷う時間も与えてはくれないらしく、強く私に向けられた命令が悟りの力で伝達されれば、渋々そちらに向けて足を動かしていくしか出来なかったのだ。
見つかった時点で勝ち目がないなんて、とんだクソゲーでしかないけれど。
『…どうも』
「どうも…久しいなぁ、“海音”ちゃん?」
『それはもう死んでるんで』
「おや、そうか。まあでも、ゾンビのようなお前にはピッタリだろう…折角の再会だ」
ひとつ、息を置いて。
彼は雰囲気を一変させ、私の頭を鷲掴みにして言った。
“跪いて、尻尾を出せ”
身体が石のように硬直する。
逃げればまだ間に合う、まだなんとか…今ならまだ、もしかしたら助けになってくれる人もいるかもしれないし。
…いないかも、しれないけれど。
「聞こえなかったか?言っておくが、こちらは幹部だ…中原殿の名を使うとあれば、こちらでいくらでもそれなりの問題案件として扱うことだってできる」
『っ、そんなこ「嫌なら、従え?」…、…』
できるなら、してやらないこともないけれど。
いかんせん、身体が動いてくれないものだから。
痺れを切らしたそいつはニヤリといやらしく顔を歪ませて、私の腹に目掛けて膝で勢いよく蹴り上げた。
『ッッッ、!!!、!?』
意識、飛ぶかと思った。
ノーガードでそんなことされて、ピンピンしていられる方がおかしな話。
蹴られた勢いのまま床に倒れ、息が上手く吸えずにお腹を抱えて必死にもがく。
「優しいだろう?ほら、これでちゃんと這いつくばれた…いい子だ」
『ハ、ッ…、ぅ、あ゛、ッ!』
腰を押さえつけるように馬乗りになって、まだ痛みの和らいでいないお腹を手で圧迫し、仰向けにさせられればあまりの恐怖に目をつぶって…気付けば簡単に泣いていた。
「ふっ、いい顔になった。再会記念に堪能させてやろうじゃないか」
やけに丁寧に剥がれる衣服の下、濡らしもせずに入ってきた指は乱暴で。
『い、っ…た、ぃ……や、だ…嫌、ッ』
「早速二本も咥えて何を言うか、この女狐が」
力、入んない…