第6章 スカビオサの予兆
「結構ギリギリだな、今日は先に資料取りに行くぞ」
『.......クソ上司のせい、』
「何か言ったか?」
『イエナニモ』
朝っぱらからあんまりにも恋人が可愛すぎたので、つい調子に乗って......
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『、も.......も、いいっ、いいからッ、あ、......や、だめそこ吸っちゃや、っっ、!!』
「こら、脚閉じんな。見えねえとこにしといてやるから」
『み、みみみ見えないところじゃ意味ないじゃないですか、っ!!?』
「.......言ったな?」
『へ?......え、へ、あ、えッ、??』
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「まあこんな日もあるだろ。お望みなら今からたっぷりまた可愛がってやってもいいんだぜ?」
『もう今日やだぁ、っ!!!』
「諦めろ、今日は一日おんぶデーだ」
『クソサド!!!』
「言ってろクソマゾ」
段々恥じらうようになってきたこの少女には初期の頃の面影はあまり無くて、新鮮な気持ちにさせられる。
そうだよな、こっちが一般的なんだよな...?
あんまりにもこいつが冷静すぎて今までそっちで慣れてたから調子狂うわ。
荷物を持ったまま資料を持って執務室へ。
時折すれ違う部下達に挨拶されながらも、その全員から「え゛っ、」と凝視されるのだが恥ずかしいのは全てリアの方だ。
俺は悪くない。
『...お嫁いけなぃ、』
「いけなくていいんだよ、俺が貰うんだから」
『なんでそんなサラッと言えるのこの人キライ』
ぽかぽかと叩かれるも悪い気はしない。
が、そんな中、情報では逃げたとあった五大幹部が一人、Aの姿がそこにある。
「!おや、これはこれは中原幹部...それに白縹殿」
足を止めるつもりはなかったのだがあちらの方から声をかけられ、それに止まる。
ビクリと反応するリアだが、
『...どうも』
気丈な振る舞いを変えるつもりはないらしい。
「よォ、久しいな。悪いけど今から仕事すんだわ、じゃあな」
「中原幹部は仕事熱心なのですねぇ...そんな部下のお守りなど、さぞ苦労されることでしょう?丁度こちらはその背に乗せた“白いの”に用事がありま__」
殺意を向けるのに時間はかからなかった。
「手前、口の利き方に気を付けろよ。幹部の座、こいつに脅かされてんのは手前の方だからな...それから、俺の部下に対して随分舐めた口きいてくれんじゃねえか」