第6章 スカビオサの予兆
『中也さんのおんぶ…♡』
「おい、脚元冷えるだろ。今日は靴下履いてスニーカーで行け」
『中也さん履かせて?』
「……仕方ねえなぁ」
玄関の椅子に座らせ、そのまま膝をついて彼女の足に靴下を履かせようと…したところで両手で待って待って、と制された。
「あぁ?お前が言ったんだろが」
『い、や…だってそんなこと本気でするなんて思わな…っ、……ふ、ふふふ普通嫌がるところじゃ…!』
「言っとくけど俺はやる男だ、覚えとけ。とっとと脚出せや」
『な、んか恥ずかし、…ッん、』
変な声を出すんじゃない、変な声を。
『あ、ああああし素手でそんな触…っ、あ、ぁ…』
喘ぐんじゃねえ!!!
「お前靴下だけでそんな…おい、大丈夫か?」
熱のせいかぐったりした様子で擽ったさに耐えている様子。
そういう事されっとちょっと虐めたくなってくんだけど。
『じ、ぶんで履け…ま、す……っ…、…あ、し離し……そ、な見ない、で』
「あ?二言があんのか?お姫さん」
『っひ、ッぅ、!?』
さら、とタイトスカートに手を忍ばせて太腿の外側を撫でる。
なんでこんな煽ってくるかなこいつは、黙ってやらせときゃ何もそそらせずにすむものを。
『ぱ、し、下…っ、見えちゃ、…!』
「下着は衣服なんじゃなかったのか?」
『あ、ぅあ、あ…』
見ねぇけど。
流石にこっちも恥ずいんだよ馬鹿。
必死にスカートを抑えてくれてしまうそいつも、まあ乙女らしくなってくれたもんだ。
俺以外にはまだそうでも無いのかもしれねえけど。
それでもすごい進歩だとは思う。
『み、見てない、?』
「見ねえよ」
『ほ、ほんと?あ、あのね、中也さんが好きなの着けてるの今日』
「手前それは今すぐこの場で服ひん剥いて欲しいっつう意思表示か?ああ??」
『違ッッ、!!?た、だあの…な、なんでも…』
何か言いたげにしつつも誤魔化すときた。
何だ、お前なんでもない訳ねえだろその反応は。
…いや、俺の好きな下着とか覚えてんのかお前、どんだけ健気だよ可愛いかボケ。
………あ???
かああ、と真っ赤な顔を俯かせて俺の反応を伺うそいつは、なにかに期待してくれているらしい。
いや、見られるの恥ずかしい癖に俺の好きな下着って…ええ、??
「…なんだよそれ、.......可愛んじゃねえの」
『!!!ほ、んと...?』
「おう」