第6章 スカビオサの予兆

ｸﾞｽﾝｸﾞｽﾝとぐずるリアを片手で抱えて用意したそれを、ベッドに連れてその上で横抱きにし、そのまま彼女の目元に当てる。
が、いっこうに俺の首元から腕を離すまいとするそいつは氷嚢を支えるつもりはないらしい。

「…姫さん、氷嚢の意味」

『……乙女心の方が傷付けられたもん』

「の割に大好きだよな俺の事」

嫌がってるくせしてずっとくっつかれてりゃ嫌でもわかる。

『ち、が…っ……こ、これはあの、その…り、リアに締め付けられる刑』

「残念ながら俺にとっちゃご褒美だなお姫さん」

『っぴゃ！！！？』

ﾁｭ､と軽くリップ音を立てて頬にキスしただけでこれ。
どんだけ初だよ、また耐性弱くなってんぞお前。

「…そういや、聞いてもいいか？今日、立原といる時にあいつと会ったんだろその様子じゃ。何された」

『……特に、何も』

「嫌悪感を感じるようなことはされなかったか？」

『存在、』

「お前結構バッサリ言うよなぁ」

嫌いじゃねえけど。
むしろ好きだけど。

『…べつ、に……立原君いた、し……背中と耳と、触られ、て…下着外されて胸触られたくら「あ？」っ、…だ、ぁ…ごめ……なさ、ぃ』

「…お前に対して怒っちゃいねえよ、それのどこが特に何もなのかは是非とも聞きてぇところだけどな」

ﾌﾟﾁ､と着せていたシャツのボタンを外していく。
少し力まれるものの嫌がってはいないようで、怖がった様子もなさそうで。

ああそうか、読んでるんだっけ俺の心。

『ふ、ぁ…♡』

「なんだ、甘えた声出して…可愛いじゃねえか」

『！！？、ひ、ぅ…っあ、ゆ、ゆっくりし…っ、ぁ…、ん、んん…♡』

その膨らみを撫で始めたところで少し怖がらせてしまったので、動きを変えて谷間を指の腹で撫でてみると、思いの外効いたらしく上擦った声で鳴き始める。

「ん、もしかして結構気持ちいい？」

『ご、ごめ「勘違いすんな、声出ちまうの可愛いと思ってるだけだから」ｯふ！！♡、っえ、……え、ぁ…』

意識をしたら恥ずかしくなったのか、両手を離して顔を隠してしまうリア。

『見、ちゃいや…』

「…俺、リアが気持ちいいのが好きだけど？」

『そういうのずるいって、……………、命、れい』

死ぬ程、好きなようにして下さい

彼女からの珍しい言い回しに、口角が上がる。

「……それじゃ、命令になってねえぞ」

お強請りだ。