第6章 スカビオサの予兆
主であるリア嬢の命令によって、抱き尽くすことが決定した…のだが、事件はそれによって発覚する。
「あーあったけぇ…やっぱり子供ってあったけぇのな」
『こ、どもって言っ…!』
「あ?俺より六つも下だろうが」
『…っ、ちが、もん』
服を剥いで、抱き合って。
素肌のまま触れ合うのはあちらさんも慣れないし、こちらもこちらで落ち着きはしない。
が、それで感じた違和感が一つ。
「でもお前、部屋そんなに暑かったか?空調があってねぇなら言えよ、しんどかったろ」
『…別に、』
風呂に入る前に触れた時より、熱いのだ。
「…お前さぁ、ストレスに弱い体質か?」
ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。
すると案の定首を傾げられてしまったので、恐らく自覚はないのだろう。
すぐにボタンを止めていき、ちゃんと学習し、させたために新調しておいた記念すべき初代体温計様を口に咥えさせる。
そしてそれが鳴って確認してみれば、平熱より二度も高い体温が表示されて…あ?二度??
「……事情が変わった、やっぱり氷嚢乗っけとけ」
『、?な、なんで?』
「今日のところはお預けだ。先に体調治すぞ」
『え…り、リア折角中原さんにお願いし、て…』
そこを突かれると、無下に出来なくなってしまう。
いやしかしこれは心を鬼にしてでも休ませなければ余計に悪化してしまうだろう。
それこそ大人な方がしっかりとみてやらないと。
「…頼む」
『………、…リアより魅力的なものがあるんですか、』
「そういう事じゃないだろ、今度は怒んぞ」
『っ、…は、い』
あんまりにも悪い事をしてしまったかと思ってしまうほどにしゅんとされてしまう。
いや、そんなに想われてちゃ男冥利に尽きるものではあるけれど。
けどそうか、自分の方からそんな風に言ってくれたんだもんなぁ、このリアが。
『寝、る…から、怒っちゃ…い、や』
「……明日一日、任務で俺が離れても、ゆっくりしておける?」
『え、…?』
「多分その調子じゃ、こっから普通に寝てもマシになるか微妙なところだ。下がらねえようなら、明日は妖館で待機…他のシークレットサービスの誰かといてちゃんと休む。それが出来るんなら……いいけど」
『…』
どちらに転んでも嫌そうだなこれは。
嬉しいのは嬉しいんだが、なぁ…
『…拠点、いちゃダメ?』
「一人にしたくねえから」
