第6章 スカビオサの予兆
『……や、ヤらせなくても、です…か、?』
「?変なこと聞くなお前、逆に聞くけど、俺の事そういう理由で好きになったのか?お前」
『や、リアは違う、けど…』
「ま、少なくとも俺はこんな奴だ…身体重ねんのなんか、互いにその気になった時でいいだろ。俺はまあお前に迫られて嫌な気はしねえけど」
知れば知るほどピュアな目の前の少女…の隠れるもふもふ群の目の前でしゃがみこんで、出てくるよう説得する。
「つうか出てこい、そんな硬ぇとこで座んな腰いわすぞ」
『…なかは、ら…さ、が……り、あのほっぺた、触っ……、ッ』
「お前それでよく俺に抱きつきたがれるな?」
『だ、っっ……、そ、なほっぺ、撫でるとかそ、んな…』
ま、まるで私の事愛してるって言ってるようなものだったじゃないですかそんな目で…!!!
なんて、清々しいほどに全てを言い切ってくれてしまった目の前のアホに対し、そうだっつってんだろ、と返せばふええ!!?と動揺される。
待て、お前俺の恋人だよな?
交際してるよな???
『…な、なかは、らさん……リア、のこと好き………な、の…?』
「おい、先に交際申し込んだの誰かよぉく思い出せ??」
『あ、ぅ……ぁ…、…………手…あ、の』
「……こうか、?」
おずおずと尻尾の間から伸ばされた手に、指を絡めて。
するとビクリと震えられるのだが、振りほどかれはされなくて、微笑ましくなる。
『…り、あ……読めるんだよ、?…触っ、たりなんか、したらそれこそ全部…か、過去でも未来でも、見ようと思ったら嫌なことでも、全部、ッ』
「知ってる。だから、お前がいい」
『!!!』
分かって、知って……その上で、俺といてくれて。
先に受け入れてくれたのは、紛れもなくお前の方だったのだから。
俺がお前を好きになる最初の理由なんて、それだけでも十分だ。
そして何より、だからこそお前がいい。
誰にも縋りつけないところなんか、見てられねえんだよ。
「……いいから、出てこい。俺に触れたいなら好きなだけ触れてりゃいいし、頼りたいならなんでも頼ればいい。して欲しいことならなんでも言え、俺もしてぇようにするから」
『…リア、といた、ら中原さ……っ、だ、って、近いうちに「やれるだけやってからにしろ、あと俺の幸せを手前が勝手に決めつけんな」あ、…ッ』
一人で泣くなっつってんのによ。
