第6章 スカビオサの予兆
『あ、れおかし…わかんなくなってき、った…ッあ、…し、尻尾今やめ…ッ』
「…イエスかノーかで答えていけよ?俺にやらしいことされるの、好きになっちまったの?」
『っふ、ッ♡』
ツツ、と指の腹で尻尾をなぞっていけば、びく、びく、と反応を示しつつも控えめに頷いて答えてくれる。
可愛い奴…
「わけわかんなくなっちまうくらいにぶっ飛ばされたいって思ってる?」
『ん、っ…ぁ、ごめ「いいよ、エロいのは嫌いじゃねえ」っ…ん…』
知ってる。
お前がいつも、心地いい程度で終わらせるべく無茶苦茶な行為に及ばないようにしてる俺に気を使ってしまうこと。
「…俺に身体、開発されたいの?」
ピン、と耳が立って、何も言わなくなる。
無言は肯定とはこういう時のリアにはピッタリなもので、その実、彼女は経験こそあるもののシャイなのだ。
「それも、好き放題…俺の好みになってくように、色んなところ」
ゾク、ゾク、と背筋が粟立つ。
彼女も同じ感覚だろうか…興奮してる、きっと。
野暮な確認なんてしなくていい、彼女は肯定しているのだから。
嫌ならとっくに否定されている、俺が相手ならば出来る子だ。
だからとどめに、お前が言うのを恥ずかしがってる言葉でそのまま代弁してやろうじゃないか。
「____俺の“性奴隷”にして下さいって、言おうとしたならやめとけよ」
『、え…あ…へ…、…?』
「ご主人様のこと奴隷にする従僕とかありえねえし、俺恋人の事そんな風に扱うような人間じゃねぇよ。せめて玩具とかの方がよっぽどマシだ、それでも大概あれだがな」
どれだけ、自尊心というものが欠如すればそうなってしまうのか。
俺にそれを推し量ることは出来ないが、今でも出るのだ、自分を卑下するような物言いに。
治していってやらねえと、自力じゃ戻れなくなるほどに。
「俺はリアに甘やかしてって言われたら、普段の五倍はお前のこと大事にしちまう自信あるぜ」
じんわりと、熱くなる腹部のシャツ。
握りしめた手を、肩を、震わせる。
こいつの言う恩とやらの返し方が分からなくて、最終的に身体を選んだのかもしれない。
俺に抱かれるのに抵抗が無いのは確かだろうが、考え方としてはなかなか皮肉なものだ。
『じゃ…ぁ、…ど、してくれ…る、の…?』
「……愛し尽くしてならやれるよ。精一杯愛でて、もっと…素直な身体にしてやる」