第6章 スカビオサの予兆
結果的にはあれ以上煽られ、処理してもらったところで萎えられる気がしなかったため、その後唇同士でのキスを続けられたのだが。
「…俺お前といるとどんどん変態になってくんだけど」
ストレートにくっつかないようにしてくれと言いそうになるも、言えない。
くっついてて貰えるのは勿論嬉しいからというのもある上全くもって嫌ではないため…というのもあるが、多分それ言ったら泣かれる。
自意識過剰過ぎるかもしれないが泣かせる自信がある。
風呂場に酒とアイスを取ってくるのにさえ愚図られてたんだから。
『いいよ、リア中也さんにならいくらでも相手でき「はい、そんなこと言ってつい最近痛い目みただろ、煽んな煽んな」…いいって言ってるのに』
んな事言われても俺マジで夜通し抱き潰せる自信あるし。
…なんて言ったら多分その気にさせるな、安易な事は言うもんじゃねえ。
「足腰使いもんにならなくなるからやめとけ、立てなくなったろ」
『…立てなくなったら中也さんが運んでくれるもん』
あぁぁぁ…こいつってこういう奴だったよ、煽んなっつってんのにまたこういうことをするだろう、ああ一生可愛がるマジで…
「何お前ほんと…今日は勘弁してくれ、明日明後日に抗争に動きでもあれば困るだろ、一応それに備えてのこっち待機でもあるんだから」
思いっきり抱きしめて撫でくりまわしている幹部なんて威厳もクソもあったもんじゃないだろうがな。
『むぅ…、……クソ雑魚絶倫上司が上司面しやがって、』
「いじけた拍子にサラッと出るよな」
乗らねえけど。
乗ったらヤらされる、絶対手ぇ出すように仕向けられる。
言い方に語弊はあるだろうがそのレベルでこの女は俺を虜にさせて止まないのだから。
『なぁに、文句ある?』
「いや?どうせまた俺の事心配してくれて言ってんだろ?」
『へ、…は、えっ』
かああ、と紅くなっていく顔は見ていて愛らしいもので、図星だということを伝えてくれる。
そうだよ、お前ってばそういう奴なんだから。
自分が甘えたりないという場合には泣くか素直になるか意地張って黙っとくかするくせして、その実俺のためともなると分かりやすいくらいに悪役を買って出てくれてしまう。
「生憎、俺はお前相手にゃ性欲おばけってところだからな。デフォルトだからそんな深刻な問題じゃねえよ、ほんとに」
『……せ、セクハラ幹部!!!』