第6章 スカビオサの予兆
「どれから食べたい?」
『バニラ!』
「はい、口開けて」
あー、と嬉しそうにして口を開けてくれるリアにスプーンでアイスを食べさせてやる。
こいつ、このまま俺に手ぇ出されるなんて考え微塵も過ぎらねぇんだろうな…ついさっき出されたばっかりなのに。
なんて心の中でまた悪態をつきつつも、ゆっくりとアイスに酒まで持ち込んで満喫するのはやはり贅沢なもの。
それもこの妖館の個人部屋の浴槽といえば普通よりもよっぽど広いもので、リアの部屋に関してはちゃんと変化したリアがゆとりをもって浸かれる広さに設計されているらしい。
だからまあ、二人で入ってもそこまで狭いとは感じない…まあこいつがちっこいのもあるんだろうが。
『中也さんだけお酒ずるい』
「酔わねえ程度にだ」
『酔ってもいいのに?』
「酔ったら襲う自信しかねぇから酔わねえ」
『ねえ中也さん、リアのこと大好き?』
「勿論だぞリアちゃん、大好き通り越してもうこのまま一生風呂場で飼っちまって軟禁して俺が飯から何から全部面倒見てや『酔ってますよね中原さん』今中原っつったかぁ??」
うわっ、絡み酒。
なんて、途端に反応が悪くなるリア。
あ?酔ってねえぞまだ。
『…リアもアイス食べさせたげる』
「ん、…………ッ、ン、…!」
口を開けて待機していれば、そのまま首元に腕を回して抱きついてきて、唇に口付けられる。
まんまとキスされてしまうも、乗り気なようなら容赦はしなくともいいわけであって。
『ッ…♡』
ちゅる、と彼女の唾液と共に少し溶けかけているそれを舌で絡めとり、吸い出すと、珍しくその唾液を取り返すようにして舌を動かし、絡めてきた。
いいねぇ、やる気じゃねえか。
ヘタクソなくせしてどこまで持つか見ものだなこりゃ。
が、そんな俺の思惑とは裏腹にとっとと唾液を飲み込んでしまい、唇を離すリア。
「…珍しいじゃねえか、もう終わりでい………、…おい、リア?」
が、今度は俺の首筋から下に向かってキスを繰り返し、先程彼女の身体で散々に堪能させてもらった胸元の突起を手で撫で始めてくれてしまう。
こいつ、何考えて…
『ん、む…』
「っ、!?…お、い……おまっ、……ッあ、」
撫でていたそこを今度はたっぷりの唾液と共に舌で撫で始め、ヂュ、と音を立ててそれを吸う。
擽ったさに少し声が出るのさえ、ぼうっとした頭には効く。