第6章 スカビオサの予兆
「はい、とりあえず温かいのにしといたから今日は」
『…ごめんなさい、リビング行けなくて』
「仕方ないっつってんだろ、粘膜擦られて内臓圧迫されまくってんだ、ケロッとしてる奴の方が不思議だって」
今回は特に子宮口周りばかり刺激していたからだろう、そもそも女側に負担がかかるばかりのこの行為なんだ、何にも気に病む必要無い。
『……情けなくないの、?』
「なんでだよ、俺のために頑張ってくれた恋人にそんな事思うわけねえだろ」
ほら、労わってやれちゃんと。
なんて、 ベッドフレームにもたれ掛かる彼女の下腹部に手を添えると、ピク、と身体を強ばらせられる。
恥ずかしがり屋だよなぁこいつも…もっと恥ずかしいこと山ほど俺にされてんのに。
こういう所がまた愛らしいっつうか、女の子らしいっつうか。
歳相応の反応…なんだよな。
本人に自覚は無いようだが。
『ぁ…、…な、んかそれ恥ずかし、い』
「あっためといてやろうと思って。手当ってやつだ」
『…、変な人』
「どうとでも言え、俺は好きな女にゃこうなるんだよ」
『ッ!!、…へ、変なのっ』
初めての経験なのだろう、恐らく。
ここまで一人の男に抱き潰されたのも、行為の後にこうして労わられるのも。
好いている男に、してもらうのも。
「なんなら今日はずっとおぶっててやろうか?お嬢さん」
『えっ、いいの??』
「勿論いいに決まっ…おう、いいぞ?」
『へ?…え、…い、ま私何言っ…!!?!?』
出た、天然。
恥ずかしがることねぇのに、ほんと可愛い奴。
「そんなにおんぶしてて欲しいか、そうかそうか。可愛いなぁお前は」
『言ってないッ!!言ってないです!!』
「え?俺はお前とずっと触れてたいけど?」
『ひにゃっっ、!!!?♡』
「けどまあ無理強いしたくはねぇし、リアが嫌なら我慢し____」
『や、やじゃない…です、…中原さ、んのおんぶ、好き…っ』
「……リアちゃんちょろ過ぎて心配になってくるわ俺」
『ちょろ…??』
半ば強引におんぶ権を獲得したところで、盛大に撫で回して朝食を食べさせてやった。
あーかわい…
これで誤魔化せてると思ってるあたりがもう堪らねぇ、なんだこの生き物は。
『中原さんにおんぶされてもあんまり視界変わらないのね』
「地面にぶん投げられてぇか手前」
『やってみ』
前言撤回だ。