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glorious time

第6章 スカビオサの予兆


『あ、そこジンジンする…』

「…痛くは?」

『だいじょぶ…けど、疲れた』

「んじゃ、もう少し横になってな。朝何食べたい?」

ぐた、として動けそうにないリアを撫でながら問う。
が、彼女はどうしてか首を横に振って嫌だ嫌だの繰り返し。

「言っとくけど食わせっからな?飼い主命令だ」

『…リア放ったらかしで調理器具と戯れるとか、』

「あー…そういう」

食べないわけではないらしい。
いや、そうじゃなくてなんだその小っ恥ずかしい理由は、どんだけ独占欲強いんだよもっとやれ。

「…じゃあソファーでどうっすか?」

『リアよりフライパンとよろしくするの…?』

「分かった、じゃあおんぶしながらでどうだ」

『……うん、っ』

目を輝かせてぱああ、とした表情を俺に向ける純粋無垢なそいつは、よっぽど俺と離れたくないらしい。
まあいいか、願ったり叶ったりだ。

力が入りそうにない分異能で浮かせておく形にはなるが、離れたくなかっただけか、そうかそうか。

「おはようのチューにしては若干遅いし多すぎる気がするんですけど?リアちゃん」

『ん…まだぁ』

「…あんましすぎるとまたムラムラすんぞ。いいのかよ」

顔を寄越せと訴えられ、それに応じればキスの雨。

『ダメです…』

「……ヘタクソ、交代だ。お前される方が好きだろが」

触れて、吸って離れて。
繰り返す彼女のキスはぎこちなくて、どこかまだ羞恥が残ってて。

どうすればいいのか、よく分かってはいなかったのだろう。
だから俺が、彼女の好きなキスで返してやる。

唇を啄んで、吸って、まぐわうようなキスを。
舌を使わずとも、リアの気持ちいいキスならば分かるから。

『…ン、…ふ、…♡』

ほら、もう安心してる。

「…っは、……ご馳走様。今日も可愛いなぁお前は…」

『!!?、へ、は、??なな何言って、、』

「?…どうした?」

『なんでもないッ!!!』

狐耳を折りたたんで、尻尾に隠れてしまうリア。
いきなりどうしたんだこいつ。

「隠れんのはいいけど、そろそろ飯作るぞマジで」

『!!!!リアが作っ、…ッッッ、!』

が、俺の言葉に反応して起き上がった瞬間、ベッドに倒れ込む。
上手く身体を起こせないでいた。

『、っ…、ぁ…』

「馬鹿、無理してんじゃねぇよあんなにされた後に!」

不謹慎にも、キュンとしたりなんかして。
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