第6章 スカビオサの予兆
触れ合うだけでももう限界だとでも言うように、彼女の体は敏感になっていく。
指を舐めるだけで腰が浮き、なぞるように刺激すれば嬌声をあげて鳴く。
そして、撫でてキスしてやったら簡単に達してしまう。
だらしない顔で必死に俺を求めてくるその様はさながら本当に人懐っこい狐のようで、しかし流石に体力もなくなってきたのか流れた涙を拭おうともしない。
嫌がられている訳では無い。
寧ろ、心地良さに流れた涙だと俺も理解をしている。
『ッハァ、…♡』
「身体中反応するようになってきたなぁ…どこが気持ちいい?」
『子きゅ、…っ、…奥の、お、く…』
ここ?
なんて意地悪く下腹部を指の腹で押してやると、丸まるように瞬時に膝を立て、短く鳴く。
そしてイヤイヤと首を横に振りながら、言う。
『違…っ、ちがぁ…ッ!!…やだぁっ、』
「届いてないのか?」
『ン…っ、…♡』
こくこくと必死に頷く様さえ愛らしい。
…まだトびきってねぇな、こいつ。
考える暇も与えないくらいに、めちゃくちゃにしてやりたい。
流石にそこまですると怖がられるだろうが。
「…一旦落ち着け、目ェ焦点合わなくなってきてる」
『へ…え、ぁ…』
「こんだけねちっこくされてりゃ体動かせなくなるだろ、だるいだろうし。欲しいとこ触ってやるから、その前にちょっとだけ休憩だ」
強請るように腕を俺に回して、抱き寄せるリア。
しかし、彼女の癖なのだこれは…決して煽られているわけではない。
『ちゅやさんだ…♡』
「おー、可愛い子が来た」
『…寝ちゃいそ、』
「寝てもいいけど勝手に犯しとくからな?」
『嫌いじゃない、そーいうの』
「……疲れたなら寝ていいぜ?俺は俺で堪能するし」
息が安定してきた。
ああ、そういや寝不足の原因も俺だったし、せっかく気持ちよく眠ってたところを死ぬほど不安がらせたのも俺だったっけ。
『…どっか、行かない?』
「ん、約束する…どっか行ったらお前のこと襲えねえし」
ぱた、と軽く動いた尻尾から嬉しいのが伝わってくる。
寝てる相手にスる趣味はなかったはずなのだが、許可も降りた上で相手がこいつとなると、ヤバい。
「…寝ちまいな。刺激的な夢見させてやるよ…その分朝から付き合えよ、俺の子狐ちゃん」
『!!…はぁい♡』
「いい返事してんじゃねえよ馬鹿、嫌がれっつの」