第6章 スカビオサの予兆
「俺、今日いつもより余裕ねぇよ?」
『ン、…知ってる』
「……自分でイイとこ弄ってみ」
『?…え、…、!!!?、あ、え…』
「命令。隠したら仕置き」
ヤバい。
切れる。
つなぎ止めておいたはずの何かが。
彼女の脚を開かせて、下着を剥ぎ取ればそこを隠そうとした手をすんでのところで止めたリア。
へえ、守るのかそういうところは。
『じ、ぶんでってそん、あ…待って、聞いてな…っ』
「自分から誘ってきておいてそれか?俺は好きだけどな、お前が必死んなってボロボロなところ」
『…、め、…れ…?』
「…命令」
言い切った。
ほとんどが好奇心からだ、こんな無茶振り。
どこまでやって見せてくれてしまうのか、見たくて。
ただそれだけの。
歯を小刻みに震わせ、涙をためながらそこに指を伸ばす。
それから、先にそこの筋を撫で始めた。
「それ好きなのか?」
『ヒ、ッ……ぁ、…だ、って…濡らさなきゃ痛いか、ら…っ』
「…唾液使ってもいいんじゃないのか?」
『!!!?そ、な…あ、…っ』
「?…あ、れお前…自慰行為、本当に初めてなのか…?」
開いた口が塞がらないとでと言うようにして震え、目を見開かせて遂に涙を零れさせる。
いや、女でもそれくらいしてる奴なんかいくらでもいるだろうにこいつは…
「……いいや、気が変わった。やっぱり俺がスる…気持ちいいとこ作ってやるよ」
予定変更だ、こいつに泣かれちゃそこまで流石に強いれねぇ。
いくら襲われた経験があるとはいえ、そういう事をされてきたといえ、この純粋乙女は性行為においての真骨頂を恐らく知らない。
寸止めされた経験なら腐る程あるようではあったが、その分開発はされていないのだ。
『へッ、あ…、……キモチイの怖ッッ、!!!』
「いい。何回かかってもいい…諦め悪ぃから、俺」
『!!!?』
無理までさせるつもりはない。
それに、本気で嫌がられるならちゃんと聞く。
それを分かっているからか、身体で覚えたからなのか。
俺に甘えるように抱きついて、言う。
『…い、っぱい手加減、して下さい』
「ん、いいよ」
『甘、えてい…?』
「いくらでもどうぞ」
『ちゅう、好き』
「知ってます」
『……べ、ッド…行く』
「!…はいよ、捕まってなお姫さん」
俺の気配がするものに触れても大丈夫なのかとは、聞けなかった。