第6章 スカビオサの予兆
私の一言によって強制的に連れられる中也さん。
野ばら姐様からいくつかその品をいただいてから、それを部屋に置いてテラスまで戻ってきた。
戻らないと多分この人、連勝の事放ったらかしにして永遠に私の事連れ回すだろうし。
が、テラスに着くと、そこには残夏君が用意したのであろうパーティーグッズの数々が。
大きな箱の中に手を入れているそう君。
あ、これあれだ、私がするとゲームじゃなくなるやつ。
「箱ーのなっかみーはなーんだーろなー!♪」
楽しそう。
残夏君が。
『あー…、と…中也、やっぱりラウンジ行こっか?折角作ってくれたのに、このままカートで保冷してるのもあれだし』
「あ?普段外に連れ出さねぇと引きこもってんだから、折角持って出たんだしいいだろ」
『ひ、引きこもってないもん…』
「リアたんラウンジ行っちゃうの〜!!?」
早速残夏君に捕まった。
いつもの事だけれど、私にこういうのは向いていない。
巻き込まれても疲れるだけだ。
『暑いし外』
「いいじゃん、一緒にゲームしようよ」
『…やだ。部屋戻る』
「あ、おい!!」
残夏君なら、私の気持ちがよく分かるはずなのに。
なんで誘うのか、聴いてみても、溢れてくるのは私とただ一緒に過ごしたいという純粋な気持ちのみ。
そんな風に思ってくれてるのに、彼が主催したゲームで私が雰囲気を壊してしまっては彼の面子を潰してしまう。
「…じゃあ、パートナークイズ対決ってのはどう??それならリアたん、楽しいんじゃない?」
『!……中也、の…??』
「は…?お、俺?」
エントランスに向けて踏み出した足を止めて、振り返る。
「ほら、中也たん相手なら楽しめるでしょ?」
確かに、この人とならば楽しめる。
しかし、ここで残夏君の言う楽しめるというのは、中也さん相手ならば多少意識が解けていても意地でも読まないようにしているから、私が純粋にその遊びに興じられるからという意味で。
『ぱ…パートナークイズって、言っても……り、リアそんなに中原さんのこと知らない』
「じゃあ余計にいいじゃん、いっぱい教えて貰えるチャンスだよ?」
『…』
ちらりと目をやると、私の前で突然膝をつき、傅く中也さん。
それにビックリすると手を取られ、そのまま、にやりと笑われる。
「いい機会だ…たっぷり教えてやるよ、お姫様?」
『!!!…う、ん』