第6章 スカビオサの予兆
組合、探偵社共に動きを見せるまでは待機命令を下された私達は、今日は呼び出しがかかるまでは妖館の中。
というのも、全ては私のためにこの対妖用警備システムの中にいるためだけなのだけれど…シークレットサービスである中也さんまでもをこちらに寄越してしまう程だ。
首領はもう少し、自分の立場を自覚するべきだと思うのだけれど。
まあ、別の幹部をつけているらしいので納得はしたが。
「で?どうすんだよ暫く、もう仕事もやっちまったしよ」
『…勉きょ「お前休みくらい休まねえの?そこまでしなくても正直なところ受かるだろ」……な、何したらいいか分かんなくて』
「あー…それなら、庭にでも出てみるか?折角だしゆっくりすればいいだろ、紅茶と茶菓子でも持って出てよ」
『!!り、リア中也のためにお茶菓子作ります』
「アホか、俺が用意すんだよ。引っ込んどきな姫さん」
『………嫌?「嫌じゃないです」じゃあなんでダメなの?』
プクリと頬を膨らましてそっぽを向くように言うと、彼はまた恒例のありがたい過保護モードに突入する。
「だってお前…茶菓子って何作るんだ?何作るにしても包丁か火か扱うんだろ?危ねぇ、却下」
『い、や…だからあの、……それじゃ、火も包丁も使わないものならいい?パンナコッタとか、レアのプリンとか』
「卵の殻か生クリームのパックで指でも切ったらどうすんだよ!!」
『…切ったらリアのこと好きにしていいよ?』
ここで考え出した対応策。
果たして、吉と出るか凶と出るか。
「好きにしてい、……あ?…そりゃお前…と言いますと??」
『何してもいい。ちゅうしてもいいし、やらしいことしてもいいし、何しても怒らないし言うこと聞く…それならいい?怪我しないから』
「…いいよ、それでもしやらかしやがったら次から絶対言うこと聞かすくらいに後悔させてやるからな」
納得するんですか。
え、想像以上にすんなりいったけど何するつもりなのこの人、読めって言ってる?
読まないわよ怖いわね…
とにもかくにも許可がおりた。
これで心置きなく調理が出来____
中也さんに抱きついていたところからおりて、軽く駆け足でキッチンに向かおうとした。
が、綺麗に私の踏み込んだ足はグキリと変な捻り方をして、そのまま床に頭までダイブ。
『………ノーカン』
「カウント」
調理以前の問題になりました